実はオカムラ社内のあちらこちらには、「挑戦社員*」が存在しています。そんな彼らに注目したのは、ブランディング統括室の神山里毅。「人が活きる」につながる組織を越えた働き方とは?で、オカムラが今後あらためて育んでいくべき「挑戦カルチャー」について語った神山。今度は、神山自身が聞き手となって社内を取材。オカムラの多様な挑戦事例を紹介していきます。
「挑戦社員」とは
前回お届けした「挑戦社員」Vol.02 『オカムラがつなぐ、共創空間beeで躍動するオカムラ社員の挑戦』に続き、第三回の今回は、海外営業本部 海外戦略室 で海外のプロモーションや商環境の空間デザインを担当している津熊 雄二(つくま・ゆうじ)に、ブランディング統括室の神山がインタビューしました。
コロナ禍でのVR(Virtual Reality)との出会い
神山里毅(以下、神山):津熊さんは、普段は海外営業本部で商環境の空間デザインを担当しているんですよね?津熊雄二(以下、津熊):そうです。おもに海外の商業店舗のデザインを日本にいながら現地のデザイナーと連携しながら行っています。また、最近は部内外のメンバーとともにメタバースを応用した企画なども担当しています。私は前職でも商業施設の空間デザインの仕事をしており、中国の四川省成都に6年ほど駐在していたんですが、その後、縁あって2019年にオカムラに入社しました。
神山:新型コロナウイルス感染症が流行するちょっと前ですね。
津熊:そうなんです。入社して間もなく出社制限がかかってしまって、なかなか同僚ともリアルで交流するのが難しくなってしまいました。あらためて、人とのコミュニケーションというのは大切だなぁと思っていた時に、VR(Virtual Reality・仮想現実)と出会ったんです。
神山:VRというと、あのゴーグルのようなものを装着してバーチャルの世界に入っていくやつですね。
津熊:はい。少しプライベートの話になりますが、私は当時発売になったばかりだった「Oculus Quest 2 ※1」というデバイスを購入して、VRゲームを始めたんです。ヘッドセットをつけて、他のプレイヤーと会話をしながら協力してゲームを進めるのですが、はじめはやはり少し怖かったです。でも、だんだんと慣れてきて、見た目や年齢などもお互いに気にしないフラットな関係で、世界中の人とコミュニケーションすることができることの魅力を感じるようになりました。
神山:参加する人それぞれがアバターで参加しているということですね。ゲームの中での友人ができるということかと思うのですが、そこから何か新しいつながりに発展したりすることもあるんですか?
津熊:当時VRゲームをやっていた人は、みんな新しいもの好きで、そういう人たちの中にはクリエイティブ系の本業を持っている人が多いんです。私もそんなクリエイターの一人だったので、気の合う仲間たちと一緒にチームをつくり、VReスポーツ ※2 の大会に出るようになったり、Echo Arena Japan Creatorsという集団をつくって、VReスポーツのパブリックビューイングイベントの運営などをするようになりました。(下記Youtubeリンク参照)
※1 Oculus Quest 2:Meta社(旧:Facebook)が発売したVR用ハードウェア。「現Meta Quest2」
※2 eスポーツ:電子機器を用いて行うゲームで行う競技をスポーツとしてとらえる名称。なかでもVReスポーツは、仮想空間内にプレイヤー自身が入り込むような没入感で行う。
VR空間デザインの経験を担当業務に展開
神山:VRイベント会場の空間デザインなども手掛けたんですか?
津熊:そうです。コロナ禍ということもあり、比較的プライベートの時間を確保することができていたので、その間に独学でいろいろと勉強をすることができました。本業のリアルな空間デザインの経験やスキルも活かしながら、新たな領域の空間デザインに挑戦することはよい刺激になったと思っています。結果的には、仲間とともに世界最大級のVR空間イベント「Virtual Market」に出展するまでになりました。
神山:その感覚ってショッピングモール内に店舗をデザインして出店する、津熊さんの本業とちょっと似てますよね?
津熊:そうなんです!中国に駐在していた時に、テクノロジーの進化がものすごい勢いで人々の生活を変えていく様子を身近に感じていたということもあり、その頃からリアルで起こっているあらゆることが、今後はVR空間にどんどん進出していくに違いないと思っていました。実際に、オカムラの既存のお客様に対する企画提案として、バーチャル店舗の提案をしたこともあるんです。
神山:それはお客様からの要望があったからですか?
津熊:いえ、あくまでもこちらからの企画提案でした。VR空間のデザインスキルを本業にも展開することで、これまでにはないような新しい切り口でのご提案ができると思ったんです。結果的には、残念ながら「面白いけどまだ早いかな~」と言われてしまいましたが(笑)。でも、それをきっかけにお客様とよい関係を構築できたので、今後も継続的にやっていきたいと思っています。
神山:リアル空間のデザインの経験値をVR空間のデザインに活かし、今度はその経験を顧客提案に活かすという取り組み、素晴らしいと思います。オカムラでもDX(デジタルトランスフォーメーション)強化を打ち出していますので、津熊さんのその経験値を活かせる機会がたくさん出てきそうですね。
今後の展開について
神山:昨年、オカムラの公式ツイッターとの連動の企画を行っていましたね。
津熊:そうです。ツイッターの「中の人」と相談して、Virtual Marketにおいて、オカムラがスポンサーとなるイベントを企画し、SNSと連動したゲーミングチェアのプレゼントキャンペーンも2回にわたり実施しました。
神山:イベント会場のデザインがおもしろかったですよね。
津熊:あくまでもイメージなのですが、オカムラの「創業の頃の工場」をコンセプトにデザインしました。オカムラのものづくりの原点でもある「N-52 ※3」や「ミカサ ※4」などを展示しています。また、中央のステージを取り囲むように、オカムラで扱っているイスを配置していて、来場客(アバター)は、そのイスに座ってVReスポーツのパブリックビューイングや音楽のライブを鑑賞することができるんです。
神山:VRとはいえ、目の前にプロダクトがあるような体験をすることができるんですね。メーカーであるオカムラとしては、今後さまざまな顧客体験に展開していくことができそうですね!
津熊:はい。現在は社内のDX推進チームと顧客体験に特化したVRならではのコンテンツを計画しています。リアルのショールームで製品を見ていただくことはもちろん大切ですが、世界中のどこにいても事前に製品を確認することができることには価値があると考えています。
※3 N-52:オカムラが1953年に完成した航空機。戦後の国産飛行機の飛行成功例として語り継がれる。
※4 ミカサ:オカムラが1955年に完成した国内初のトルクコンバータ式オートマチック自動車。
神山:オカムラでもDX人財の育成に力を入れていて、新たな事業アイデアがどんどん生まれてきていますので、今後さらにVR領域の可能性は広がっていきますね。
津熊:そうですね。何か新しいことに自身の経験やスキルを活かすことができればと思っているので、積極的に参画していきたいです。
神山:新しい価値を0→1で生み出していくためには、これまでには無かった人と人、部門と部門のコラボレーションが必須だと思うので、組織の壁を越えた交流を一緒に生み出していきましょう!
これからの“挑戦社員”に向けてのメッセージ
神山:今回は、VR(Virtual Reality・仮想現実)の領域に踏み込み、自ら学ぶことで、業務の範囲を拡張する挑戦をしている津熊さんにお話を聞きました。最後に、これからのオカムラに必要だと言われている、誰でも気軽に挑戦ができ、会社もその挑戦を応援するような「挑戦カルチャー」をより育んでいく上で、「挑戦社員」の先輩として、従業員の皆さんにアドバイスをお願いします!津熊:先ほどお話しした既存のお客様へのVR店舗の提案の際には、当然、上司や営業担当者に事前に相談をしたのですが、皆さん一貫して「お客様にとって新しい価値を提供できるのであればやるべき」という意見で、背中を押してもらうことができました。新しいことに挑戦する際には、少し勇気が必要なタイミングが必ずあると思うのですが、関係者が皆で協力したり応援するカルチャーがオカムラにはあると思うので、今後どんどん増えていけばよいと思っています。私も少しでも力になれればと思っているので、まずはお声がけいただきたいです!
神山:津熊さん、ありがとうございました。これからの活動にも注目しています!
インタビュー後記
津熊さんは、自身の担当業務をただこなすだけでなく、常に広い視野を持ち、自身の業務範囲を拡張したり、新しい価値の創出に挑んでいくことを楽しんでいる姿がとても印象的でした。オカムラのミッションは「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」です。オカムラが提供する「人が活きる環境」の範囲は限りがなく、今後、一層拡大していくのだという可能性を感じ、私自身もワクワクしました。(ブランディング統括室 神山)