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「人が活きる」につながる組織を越えた働き方とは? 〈前編〉

2022.03.01

実はオカムラ社内のあちらこちらには、「挑戦社員*」が存在しています。そんな挑戦社員を紹介する本シリーズ、第1弾は、ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 人事部 田口周平氏と、オカムラ ブランディング統括室の神山里毅による対談をお届けします。

「挑戦社員」とは


テーマは、業務範囲や組織の壁を越えて働く「越境」という働き方。

人事という専門領域を持ち、社外副業制度の立ち上げなどに携わりながら、ダイバーシティ推進のためにLGBTQ+領域に取り組む従業員団体を立ち上げ、今はアジアパシフィック地域の代表として啓発活動を行っている田口氏と、デザイン領域での職歴を活かし、これまでに、社内外がつながる“共創空間”の立ち上げや、所属組織と他部門での兼業の実施、社外NPOでの副業など多様なスタイルで働いてきた神山。働きながら通った社会人大学院で知り合った二人が、本業の域を超えて働く「越境」という働き方について意見を交わしました。
 

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対談の前に、田口氏と神山がどんな越境挑戦をしてきたのか紹介します。

働くうえで「越境」する意義

神山里毅(以下、神山):まずは働き方における「越境」とは何か、そこから話していきたいと思います。「越境」する働き方を、私は所属組織での担当業務で得た経験やスキル、視座を他の領域で活かすことだと定義しています。私自身、2002年の入社以降、一貫してデザインに関わる業務を行ってきましたが、この20年のキャリアを活かせる場所は、本業以外にもあると考えているんです。例えば、デザイナーが居ない部門や提案現場とは距離のある部門においては、ユニークで新しい視点のアイデアが提供できると思います。私が出せる本業でのバリューが100だとすれば、自分の知見やスキルを活かして他部門の仕事を手伝ったら、会社にとってのバリューが105になることもあると思うんです。「全体最適」という視点で、会社にとって価値があることなら、自分の業務範囲を越えた「越境」にはとても意義があると思うんです。

田口周平(以下、田口):会社にはたくさんの事業があって、部門もあるので、そういう「越境」の形もありますよね。ジョンソン・エンド・ジョンソンの場合は、エンプロイー・リソース・グループという、啓発活動などを行う従業員団体の活動が盛んです。その活動も業務の一部として認められていて、評価もしてくれます。例えばある団体では、経理の人がニュースレターの記事を書いたりということが可能になっていて、普段の業務とは全く別のことをしてもOKなんです。私は本業と関係ないことにチャレンジする目的で「越境」を選ぶのもアリかなと思いますね。
 
二人は名古屋商科大学大学院(MBA Business Innovation Program)修了同期。
二人は名古屋商科大学大学院(MBA Business Innovation Program)修了同期。

神山:そういう視点もおもしろいですね。「成長曲線」というものがありますが、若いうちは新しいことをどんどんと吸収して、グンと伸びるんですけど、ベテランになるにしたがって成長カーブは緩くなっていく。仕事をこなすことは上手になるけれど、モチベーションは下がりがちに。成長を止めないためには、新しい目的があるといいですね。それまでの経験を活かしつつ、興味の範囲を広げて挑戦すると、新たな成長曲線が描けそうなイメージです。

田口:神山さんはどんなところで「越境」を意識するようになったんですか?

神山:2012年に社内のオフィス改装があって、設計を担当することになったんです。プロジェクトメンバーとのコンセプト会議で、「社外との接点を増やしたいね」という話が出てきて。オカムラは、企業の総務や購買担当との接点はありましたが、一般ユーザーと直接話す機会は少なかったんです。そこで、社外の人とイベントができるほど広い来客スペースをつくって、オフィスの完成と同時にイベントの企画運営を始めました。初めは、「あいつらは夜な夜な怪しい活動をしている」と白い目で見られていたと思うのですが(笑)、10年たった今では価値が認められ、東京以外に名古屋・大阪・福岡でも共創空間が展開されています。この経験をきっかけに、全体最適を考えて「やったほうがいい」と思うことには、チャレンジしていいんだなと考えるようになりました。田口さんはいかがですか。
 田口:私は2012年から7年間ぐらい、女性活躍を推進する従業員団体の人事アドバイザーをしていました。従業員団体には、いろいろなセクターの人が集まり、それぞれの立場からさまざまな意見が出てきます。最終的に意見をとりまとめて、いいものをつくっていかないといけません。どうしたらより洗練させられるか、どうしたらみんなが一つのゴールに向かって走れるか。相手の立場になって考える、言い換えるなら「考え方の越境」みたいなことは、とても意識しましたね。

神山:従業員団体へは、それぞれ自主的に参加するのですか?

田口:そうです。「やりたい」「参加したい」という人が手を挙げます。基本的に従業員団体の活動は、会社のルールを外れなければ何をやっても自由。本業をやりながら従業員団体の活動をやるときに重要なのは、モチベーションとパッション。「やりたい」と思う気持ちがあってはじめて、いろいろなチャレンジができますし「やってよかった」という達成感もあるのだと思います。

神山:「興味」から始めて、そこに段々と「モチベーション」や「パッション」が乗り、やり遂げることで「達成感」につながる流れは、オカムラの共創空間の成り立ちと同じですね。
 

雇用形態の変化が「越境」する働き方に及ぼす影響とは?

神山:田口さんは外資系企業に所属していますが、日本企業と雇用形態はどう違いますか。

田口:外資系は、ポジションや職務内容ありきで採用するケースが多いです。自分から手を挙げないと仕事の幅やキャリアの幅、経験が増えていかない。一方、日本の労働市場は終身雇用が多くて、従業員の仕事も会社がローテーションを組むことが多かった。何年たったら違う部署に行くとか、いろいろな経験が積めるように考えてくれるわけです。しかし、日本の終身雇用制度や年功序列制度が今のビジネスのあり方に合ってないという声が聞かれるようになりました。
 
「ジョブ型の働き方も、それだけやっていればいいわけではない。さらに上をめざすことが求められる」(田口)
「ジョブ型の働き方も、それだけやっていればいいわけではない。さらに上をめざすことが求められる」(田口)
神山:最近は、日本でもジョブ型雇用(※1)が増えていますよね。人事の専門家として、こうした変化をふまえて「越境」する働き方をどう見ていますか。

※1:企業が人材を採用する際に職務・勤務地・時間などの条件を明確に定めた雇用契約。

田口:自分の身は自分で守るというか、自分の市場価値を高めるためにも、新たな経験を積める「越境」という働き方には、チャレンジしていく価値があると思います。

神山:ジョブ型や裁量労働制(※2)だと、業務範囲が明確になってきますよね。でも、それぞれの業務範囲の間に取りこぼしている領域や、誰が担当するかわからない領域もある。そこに気づく人はいるんだけど、「これをやっても評価されないな」と思ったら、「放っておこう」となってしまう。そういった部分に進んで手を出していくことを、会社が応援し、評価してくれたら、もっとみんな積極的になれるんじゃないかなと思いますけどね。

※2:労働時間を実労働時間ではなく、労働者の裁量にゆだねた労働契約。みなし労働時間制の一つ。

田口:誰にも属さない仕事ってありますよね。ただ、それを拾う人が「拾い損」になったらよくない。ジョブ型では、最低限ジョブとして定義されている仕事を全うできていれば、評価としてはOKなわけです。だけど、定義されていない領域で成果を出したときに、「どう評価するのか?」という評価システムの問題もあります。もちろんその内容にもよるわけですが、例えば、マネジャーが業務として認めたり、評価対象に含めたり、そうしたケアは必要ですね。
 
「取りこぼされている仕事に進んで手を出すことを応援、評価していくべき」(神山)
「取りこぼされている仕事に進んで手を出すことを応援、評価していくべき」(神山)

神山:オカムラでも裁量労働制のトライアルを昨年から実施しています。実際に私も参加してみて、自身の裁量で時間や場所を選択し、集中して作業することが出来ることは良いと思いました。一方で、時間管理が厳密でないため、デザインなど細部を詰めるほど成果が洗練される傾向がある仕事については、業務時間のメリハリがつけにくいという部分もありました。

田口:そうですね。ただ、時間に縛られない裁量労働制は「越境」のチャンスもあると私は思います。本業を効率的に行って時間を圧縮できたら、本業以外の興味の領域に時間を充てられますから。1日24時間ある中で、その時間をどう使うかは本人次第。仕事に重点を置きたいのか、プライベートを充実させたいのか、ライフステージによっても違うと思います。「越境」も含めて、働く人のさまざまなスタイルを受け入れてくれるカルチャーが会社に根づくといいですよね。
 

組織の「壁」を乗り越えるために欠かせないのは「想い」

神山:「越境」した働き方をするためには、越えないといけない壁が二つあると思うんです。一つは、垂直の壁。主には上下関係ですね。当然、担当業務で十分な成果を出していないと、マネジャーに担当業務以外への挑戦は言い出しにくい。もう一つは、水平の壁。部門間の距離ですね。従業員アンケートなどでも、「組織間の風通し」や「部門間連携」に課題があるという声は出ています。ただ、部門ごとの業務範囲がある中で、お互いの領域に積極的には干渉しないという傾向は、あるかもしれません。

田口:でも、その「壁」の中にいれば安全なのかというと、決してそうではないですよね。壁の外に出てみたときに、どういう世界が見られるかも大事ですね。

神山:私もそう思います。私自身、これまでも「こうしたらオカムラがさらによくなると思うので、こういうことをやりたい」と上席に提言する機会をもらいました。そこで「ダメ」と言われたことは、基本的にないです。しっかり話を聞いて、「担当業務と両立ができるなら、ぜひやってみたらいい」と応援してくれる。オカムラは本来、チャレンジに対して大らかで、「アイデアのある人は、どんどん声を上げてほしい」という社風だと思います。

田口:副業も「越境」も、自分がやりたいからアプローチするわけですよね。「いいものをつくりたい」、「こういうことがしたい」という想いやパッションがあって、達成するために必要があるならば、壁を乗り越えることに挑戦すべきだと思うのです。大変かもしれませんが、そこに熱量があれば、働き方のひとつとして「越境」を選択してみるのはありではないでしょうか。
 

対談後記

前編では、本業の域を越えて働く「越境」に対する考え方や、現状の課題などを語り合いました。「想いがあるなら一歩踏み出すべき」、二人の意見は一致していました。また、「こうなってほしい」という熱い想いを込めてやる仕事は、その人を輝やかせてくれる「人が活きる」仕事なんだろうと感じました。後編では、「越境」と会社のカルチャーについて語りあう模様をお届けします。お楽しみに。(編集部)

2021年10月取材
OKAMURA 新卒採用情報
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