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特別編「SMILE歴史AWARD」歴史上の人物を編集部が表彰します!

2023.01.24
オカムラグループには、一人ひとりが、日々の行動の拠りどころとするための「私たちの基本姿勢 -SMILE-」という5つのアプローチがあります。

編集部では、この「SMILE」について、「もしかしたら、時代を超えて、さまざまな仕事やはたらき方にも通じるのではないか?」という仮説を立てました。そこでスタートしたのが、本連載「SMILE」歴史探偵団です。誰もが知っている、歴史上の人物とそのエピソードに着目して、「SMILE」の観点で分析。その人物の成功の秘訣がどこにあるのか、独自に考察します。
 
「SMILE」歴史探偵団、今回で最終回です。締めくくりとして編集部が選ぶ「SMILE歴史AWARD」を開催! これまで登場した歴史上の人物を「私たちの基本姿勢 -SMILE-」の観点から振り返り、Shine、More、Imagine、Link、Expertの各賞と、最優秀SMILE賞を選出します。本連載の監修者である小和田哲男先生からのコメントとともに、SMILEをふまえて、現代のビジネスパーソンが歴史上の人物から学ぶべきポイントも紹介します!

「私たちの基本姿勢 -SMILE-」

まずは、「私たちの基本姿勢 -SMILE-」を紹介します。Shine、More、Imagine、Link、Expertという5つのアプローチは、私たちオカムラにかかわる、すべての人の笑顔のために、オカムラグループの従業員一人ひとりが日々の行動の拠りどころとしています。
 

「SMILE」歴史探偵団では、歴史上の人物に対して、その仕事ぶりをSMILEの5項目を5点満点で評価してきました。今回は、項目ごとに5点を記録した人物をSMILE各賞にエントリーとします。編集部による選考を経て、賞を決定しました。では、さっそくShine賞から発表していきます。
 

Shine賞 学び・感性を磨くことで、自分が活きる

Shine賞にエントリーしたのは、ストイックな学びから成功を掴んだこの2名です。

織田信長 情報の取り扱いに細心の注意を払い、勝利を掴む
葛飾北斎 さ後、独自の画風を確立まざまな流派を学んだ

信長は、青年時代から「情報」の扱いを磨き続けており、格上の武将・今川義元との戦では情報を武器にして、奇襲からの大勝利を掴みました。北斎も生涯学び続けた人で、画業を追求するためにいくつかの流派を渡り歩くのは、当時としては異色のキャリアだったそうです。

編集部の意見は、信長派と北斎派に分かれました。「自分が活きる」を考えて、その時代に及ぼした影響はどちらが大きいか、長い議論を経てShine賞を決定しました。
 

Shine賞 織田信長

桶狭間の戦いでは「情報」を活かした戦略で、今川軍2万5000人VS織田軍4000人という絶対的兵力差をひっくり返した信長。まさに「自分が活きる」を体現した戦いぶりが受賞理由です。そして、戦国時代という変革期における影響力の大きさが決めてとなりました。
 

小和田先生評

織田信長というと“突然変異の天才”と思われがちですが、実はよく学ぶ人物だったんです。たとえば、信長は攻撃目標に近い場所に城を移して戦うという戦術を、父・信秀から学んで実践していました。父の戦をよく見て、優れたところを吸収していたんですね。信長だけでなく、当時の武士たちは「武辺咄(ぶへんばなし)」と呼ばれる戦の成功談・失敗談を聞いて、学びを得ていました。先輩の体験談から学びを得て自分の成長に活かすことは、現代のビジネスパーソンにとっても大事なことではないでしょうか。

More賞 果敢に挑戦することで、仕事が活きる

More賞にエントリーしたのは4名。いずれも果敢な挑戦で偉業を成し遂げ、歴史に名を残した人物です。

北条政子 朝廷に対して挙兵し、鎌倉幕府を守り抜いた
織田信長 目的の一点集中によって、兵数の不利を解消
土方歳三 厳しい隊律「局中法度」を徹底。烏合の衆である新選組を統率した
徳川家康 インフラ整備など、江戸の「都市開発」を推し進めた

農民出身ながらも“武士”として新選組をまとめ上げた土方歳三や、未開の土地であった江戸を世界有数の都市へと発展させた徳川家康の仕事ぶりが印象的でした。

鎌倉時代、戦国時代、幕末という、いずれも変革期に活躍した人物です。編集部の議論では、その中で、江戸の都市整備を進めた徳川家康と女性リーダーとして鎌倉幕府を守った北条政子が、最後まで競っていました。
 

More賞 北条政子

当時の武士たちにとって、朝廷に刃向かう行為は非常に畏れ多いもの。後鳥羽上皇挙兵の報に動揺し、降参しようとする武士も少なくありませんでした。しかし、鎌倉幕府設立の苦労を知る政子は、朝廷に対する挙兵を決断し、鎌倉幕府を守り抜いた点を評価。これはまさに、果敢な挑戦によって仕事が活きた好例と考えての受賞となりました!

 

小和田先生評

鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻であるとともに、初代執権・北条時政の娘で、二代目執権・義時の姉という立場だった政子。鎌倉幕府の第一線で活躍した人物と言えるでしょう。そして、政子の仕事といえば「ご恩と奉公」の演説。頼朝に受けた恩義を御家人たちの感情に訴えかけるエモーショナルさと、鎌倉武士が一致団結すれば朝廷にも負けないというクレバーな先見性を併せ持った、見事な振る舞いでした。こうしたエピソードから、果敢な挑戦を成功させるための勇気と先見性が学べるでしょう。

Imagine賞 思いやりを持ち創造することで、相手が活きる

続いて、Imagine賞です。こちらには、4名がエントリーしました。

北条政子 演説で御家人の心をつかみ、チームをまとめた
津田梅子 留学中に公演で寄付金を集め、「日本婦人米国奨学金制度」設立

坂本龍馬 犬猿の仲だった薩摩藩と長州藩の間に入り、薩長同盟を実現
葛飾北斎 弟子や私淑者、職人たちのため絵手本を制作

津田梅子は自身の留学経験から、後世の日本人女性にも同等の高等教育を受けてほしいという志を持ち、奨学金制度を設立。坂本龍馬は、薩摩藩と長州藩それぞれの立場に配慮した交渉で、犬猿の仲から一転、Win-Winの同盟を実現させました。

歴史上の人物が活躍する背景として、どうしても戦や動乱が関係してくることが多いです。そんな中、文化的な視点から評価することをImagine賞では重視しました。
 

Imagine賞 葛飾北斎

生涯で93回も引っ越しをするなど、奇人エピソードに事欠かない北斎ですが、「絵手本」を弟子だけでなく全国の私淑者や職人に頒布し、自身のテクニックを惜しみなく提供しました。絵手本を見た多くの「相手が活きる」エピソードが、受賞理由です。監修の小和田先生も、アートを学ぶことが難しかった時代に、北斎がとった行動を高く評価しています。

 

小和田先生評

当時、画家になるということは誰かの内弟子になり、一生同じ師匠についていくことを意味しました。しかし、北斎は何人も師匠を変え、それぞれの良いところを取り入れる現代的な学びを実践していました。そして、編み出した独自のテクニックを「絵手本」にまとめて、世に広めたのです。北斎自身がどこまで意識していたのかわかりませんが、結果として日本画界のレベルの底上げにもつながりました。自分のスキルを独り占めするのではなく、多くの人と共有する利他の精神は会社組織の発展にも役立つでしょう。

Link賞 多様性を愛し、協力することで、チームが活きる

賞の発表も後半戦です。Link賞にノミネートされたのは、渋沢栄一、坂本龍馬、徳川家康の3名でした。

渋沢栄一 藩を超えた十数名と「改正掛」を発足→地租改正などに貢献
坂本龍馬 大胆不敵な交渉術で、藩閥を超えて重要人物たちを味方につける
徳川家康 家臣たちの意見によく耳を傾けていた

どの人物も人の話をよく聞き、チームプレーが得意な印象。チームを活かす素質に溢れたメンバーがそろいました。

この3人に共通するのは、時代を変える仕組みをつくったことかもしれません。戦国時代を経て太平の世をつくった徳川家康、幕末という変革の時期に藩閥の枠組みを超える取り組みを実現した坂本龍馬、そして近代国家の日本の礎を築いた渋沢栄一。編集部内でも、誰が一番、「チームが活きる」を体現したか、意見がなかなかまとまりませんでした。
 

Link賞 渋沢栄一

近代日本の礎となる制度を策定するため、藩閥や身分を超えた“プロジェクトチーム”である「改正掛」を発足した栄一。改正掛のモットーは適材適所の人事で、まさに「チームが活きる」エピソードだった点が授賞理由です。2021年の大河ドラマの影響も少しあったかもしれません。

 

小和田先生評

農民から幕臣へ、そして政府の要職へと駆け上がっていった栄一。そのままいけば、大蔵省のトップにも上り詰められたところを、組織から飛び出して自分の能力を発揮する場を求めたのが、彼の面白いところ。自ら進んで仲間を作り、国立銀行の設立や鉄道会社などの起業に尽力しました。そして、彼の活躍を後押ししたのが、幕末維新期の時代のうねり。昨今のような“予測不可能な時代”も、栄一のように多様性を重んじる人物が活躍する時代かもしれませんね。

Expert賞 最良を追求し続けることで、社会が活きる

さぁ、いよいよExpert賞です。候補は、渋沢栄一と津田梅子、土方歳三の3名です。

渋沢栄一 第一国立銀行と商工会議所創立→​商工業発展
津田梅子 留学中の友人らに支えられ、津田塾大学の前身「女子英学塾」設立に尽力
土方歳三 洋式の軍制を採用し、幕府の再建に最後まで尽くした

近代日本の発展や女性の地位向上に尽力した渋沢栄一と津田梅子は、2024年度発行の紙幣の肖像となる人物。まさに「社会が活きる」を体現しています。そして、土方歳三も、幕府再建という自身の理想は実現できなかったものの、最良を追求し続けた人物です。

ここでの議論は、「社会が活きる」をどれだけ成し遂げたか。編集部では、その仕事ぶりから渋沢栄一と津田梅子の二択まで絞り込みましたが、なかなか結論が出ず…… これは本当に難しいジャッジでした。
 

Expert賞 津田梅子

梅子が生きた時代、女性には社会で活躍する場が与えられていませんでした。そんな中、日本の未来を見据えて、私財をなげうってまでも女性教育に取り組んだことが、受賞理由です。現在のダイバーシティを先取りしていただけでなく、未来を見すえて「社会が活きる」を実現した点は、私たちの考えるExpert像そのものです。

 

小和田先生評

More賞の北条政子をはじめ、中世には社会で活躍する女性がいましたが、江戸時代に、「女性は奥に入るもの」とされ、明治維新以降まで勉学の場も奪われていました。そんな時代の最中に梅子は女子教育に熱心に取り組み、自分の理想の学校を作るために私学「女子英学塾」を創立したのです。前例がないからこそ、自分が先鞭をつけようとする梅子の挑戦は、津田塾大学として今も残っています。積極的に社会課題に取り組む姿勢は、非常に現代的で学ぶことも多いと思います。

[番外編]小和田先生が選んだのは、現代的なマネジメント能力を持つ“あの武将”

以上、SMILE各賞を発表してきました。あとは、最優秀SMILE賞を残すのみです。

その発表前に、SMILE歴史アワードから漏れてしまった人物の中から、小和田先生イチオシの人物を選んでもらいました。栄えある「小和田賞」の発表です。
 

小和田賞 徳川家康

選考理由は、自分に敵対した家臣をも許す度量の広さと、感情に流されない人材抜擢の才。これらは現代のビジネスパーソンにも欠かせない才能ではないでしょうか。More賞、Link賞でもいい線までいっていたので、小和田先生が選んでくれて、編集部もよかったと思っています。

 

小和田先生評

家康は、三河一向一揆に参加した本多正信の帰参を許したり、元は敵方だった今川家や武田家の家臣を重用したりと、能力さえあれば私心なく人事を行いました。家康の名言に「自分の好き嫌いは捨てて、適材適所の人材配置をせよ」というものがあります。これはSMILEのImagineにも通じる考え方かもしれませんね。こうした現代性が評価されて、最近では家康のリーダーシップが注目を集めているようです。

最優秀SMILE賞 「人が活きる」ために生涯を捧げたあの人が受賞!

では、「最優秀SMILE賞」を発表します!

SMILE全体でハイスコアを記録、そして時代を先取りする取り組みから、編集部が選んだのは……
 

教育を通じて女性の地位向上・社会進出に取り組んだ梅子は、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」というオカムラのミッションとも共鳴する人物ではないでしょうか。
 

小和田先生評

津田梅子が生涯を捧げた教育そのものが、「人が活きる環境づくり」に欠かせないものです。そして、梅子の教育は津田塾大学設立のみならず、のちの津田塾大学初代学長・星野あいや、恵泉女学園創立者の河井道ら、後進の活躍という形でも実っています。現状に甘んじることなく道なき道を進み、目的や理想を追求する梅子の生き様は、現代を生きる我々の指針となるはずです。

SMILE歴史AWARD 総評

今回のSMILE歴史AWARD、いかがだったでしょうか。本連載では、「私たちの基本姿勢 -SMILE-」の観点から、歴史上の人物の仕事ぶりを見てきました。私たち現代人との共通点も多くあり、ビジネスパーソンとして学べることが多々あったのではないでしょうか。編集部のメンバーも本連載を通して、歴史上の人物に対する見方が変わっていったように思います。

なお、SMILE各賞に、それぞれの人物を紹介した記事のリンクも設定しています。この機会に、ぜひ読み返してみてください。惜しくも賞に漏れてしまった人物たちも含めて、「私たちの基本姿勢 -SMILE-」を理解してもらえるきっかけになればと思います。
 


監修:小和田哲男
歴史学者。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学名誉教授。専門分野は日本中世史、戦国時代史。著書に『日本の歴史がわかる本』(三笠書房)、『織田家の人びと』(河出書房新社)、『歴史に学ぶ~乱世の守りと攻め~』(集英社)など。
 

小和田先生の書籍からおすすめの一冊

小和田先生に、さらに歴史から現代人が学ぶためのヒントを伺ったところ、「戦国時代の武辺咄や遺言状など “家訓”には、武将たちの生の言葉が残されています。リーダーシップや組織論について含蓄のある話が書かれているので、なかなかおもしろいですよ」と教えてもらいました。先生自身、そのおもしろさを『家訓で読む戦国』という著書で紹介されています。こちらも参考までに。

『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版)

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