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子どもと一緒に成長する学習家具「mirumio」を生んだ部門横断の共創

2025.04.10
「人が活きる」社会の実現を目指す、株式会社オカムラ。そんなオカムラの最新トピックをお伝えするのが、この「オカムラを知る!」です。新製品の開発時のエピソードから、社内のちょっとした活動まで、オカムラグループのさまざまな取り組みを紹介していきます。

2025年3月28日、オカムラは学習家具「mirumio(ミルミオ)」を発売しました。「子どもの成長に合わせて、家具も成長する」をテーマに、小学生から中学生・高校生まで長く使うことを想定したチェアとデスクで、個人向けの専売製品です。今回、製品開発からプロモーション、イベント企画、販売に至るまで、さまざまな部門のメンバーがチームを組み、社内共創によって発売に漕ぎつけました。新たな挑戦や成果についてプロジェクトに関わったメンバーに話を聞きました。
2025年3月取材

一緒に成長する、人生初のチェアとデスクを子どもたちへ

――まずは簡単な自己紹介とmirumioへの関わり方を教えてください。
 

ブランドマーケティング部 岩田 友香
ブランドマーケティング部 岩田 友香
岩田 友香(以下、岩田):ブランドマーケティング部の岩田です。プロダクトマーケティンググループで、普段は製品企画を担当。mirumioでは企画担当としてデザインや製造部門と連携して製品開発に携わりました。
事業戦略統括部 プロモーション部 内田 和彦
事業戦略統括部 プロモーション部 内田 和彦
内田 和彦(以下、内田):事業戦略統括部 プロモーション部の内田です。オフィス総合カタログ制作をはじめ、オフィス製品を中心にプロモーションを担当しており、mirumioのプロモーション全般も担当しました。従来のBtoB(※1)製品とはターゲットが違うBtoC(※2)製品なので、どうアプローチするか試行錯誤しながら進めました。

※1:Business to Businessの略。企業間の取引
※2:Business to Consumer/Customerの略。企業と消費者の取引
事業戦略部 CXデザイングループ 内山 みのり
事業戦略部 CXデザイングループ 内山 みのり
内山 みのり(以下、内山):事業戦略部 CXデザイングループの内山です。OKAMURA Lifestyle Store(※3)の運営に携わっています。今回はmirumioの発売を記念したイベント「まなぶチカラを育てる学習環境を考えようDay」の中で、親子参加型の謎解きイベントを企画、実施しました。

※3:オカムラの個人向けブランドECサイト。製品販売とともに、ライフスタイルを充実させるアイデアを見つけるためのメディアとしてさまざまな情報も発信
ライフスタイル営業部 沼田 健助
ライフスタイル営業部 沼田 健助
沼田 健助(以下、沼田):ライフスタイル営業部の沼田です。販売店への営業や直営サイトの運営をしています。mirumioでは販売担当として、受発注の手配やお客様からのお問い合わせ対応を行っています。応援購入サービスのMakuakeの対応も担当しました。
――みなさんをはじめ、他にも大勢のメンバーが協力して進めてきたそうですね。では学習家具「mirumio」について伺います。まずは誕生の背景を教えてください。

岩田:学習家具は近年、少子化やリビング学習の浸透で市場が縮小していました。その一方、コロナ禍で個人のお客様に新たな変化がありました。在宅勤務が広がり、「自宅でもちゃんとしたチェアが必要」とオカムラのチェアを自宅用に購入してくださる方が増え、個人向け需要の高まりに気づいたんです。これまで多くの人にとってオカムラとの最初の接点は社会人になってのオフィス家具ではないでしょうか。でも「人生のもっと早い段階からオカムラ製品に触れてファンになってほしい」という声が社内で出てきて、「ファーストチェア(人生の最初のチェア)」というコンセプトでmirumioを企画。都市部では中学受験が増えている社会的背景から、小学校中学年くらいをメインターゲットに想定しました。
 
mirumioは、子どもの成長に合わせて長く使えるデザインと機能を兼ね備えている
mirumioは、子どもの成長に合わせて長く使えるデザインと機能を兼ね備えている
――「mirumio」は響きがかわいいですね。

岩田:「mirumio」はラテン語で”私の”という意味を持つ「mio」と、“驚く”という意味を持つ「mirum」を組み合わせた造語です。子どもたちが初めてのことに驚く瞬間に寄り添いたいという思いで名付けました。社内メンバーで「子ども向け製品らしく親しみがあって、覚えてもらいやすい名前にしたいね」と話し合って決めたこだわりの製品名です。

――mirumioで大切にしたことは何ですか?

岩田:「好ましい姿勢を身につけてほしい」という思いです。それが叶うよう、成長期の子どもの体格にしっかり合ったチェアとデスクを開発しました。成長の過程で長く一緒にいる「相棒」のような存在として、子どもたちの人生におけるアイコンになることをイメージしています。

内田:成長期の子どもにとって好ましい姿勢を保持するために、人間工学の知見を取り入れているのも特長です。オカムラでは長年にわたり人間工学を研究し、オフィスチェアの設計に活かしてきました。
 
「開発中、従業員の子どもたちに使ってもらったことも。そのフィードバックも仕様に活かされている」(岩田)
「開発中、従業員の子どもたちに使ってもらったことも。そのフィードバックも仕様に活かされている」(岩田)

岩田:例えば、一般的なオフィスチェアの座面は50mmほどスライドするのに対し、mirumioのチェアは70mmスライドするので子どもが座面の奥まで腰掛けられて、背中を背もたれにつけやすい設計。デスクは工具レスで天板の高さを簡単に変えられます。天板サイズは幅120cmと広く、作業スペースをしっかり確保。タブレット学習に対応したスタンドや、ブックエンドなど付属品も用意しています。
 

mirumio ギャラリー

届けたいお客様に向けた、新しいプロモーションに挑戦

―今回、mirumioを届けたいターゲットへはどのようにアプローチしていったのですか。

内田:今までのオフィス製品とは違うお客様に、「子どもの好ましい姿勢の実現をサポートするチェア」という新しい価値を届けるには、これまでとは違う施策が必要だと考えました。今回実施したインフルエンサーの活用や、「まなぶチカラを育てる学習環境を考えようDay」という親子参加型のイベントは、オカムラにとっては初の試みです。イベントは土日に親子連れで実際に製品を体験できる機会をつくりたくて実施しました。理由は、mirumioがOKAMURA Lifestyle Store専売製品で、実際に製品を見られるショールームの営業が平日だけだからです。
 
「イベントの告知にはSNS広告も活用した」(内田)
「イベントの告知にはSNS広告も活用した」(内田)

岩田:製品を紹介する動画もこれまでと違う、いわゆる「エモい」感じです(笑)。親御さんに刺さる内容だと思いますので、ぜひ大勢の方に見ていただきたいです。
 


――イベント「まなぶチカラを育てる学習環境を考えようDay」で担当された謎解きイベントについて、もう少し詳しく教えてください。

内山:mirumioを使っていただいたインフルエンサーの方をお招きし、セミナーを実施することは最初に決まりました。でもセミナーだけだと子どもたちは飽きてしまうだろうと、謎解きイベントを企画することになりました。mirumioを子どもたちに実際に試してもらうため、親子が一緒に参加できるイベントにしたかったんです。。問題を解きながらショールーム内を巡り、mirumioだけでなく、多くのオカムラ製品に触れる仕掛けを用意しました。
 

「謎解きイベントでは、親子でオカムラのファンになってもらえるよう工夫」(内山)
「謎解きイベントでは、親子でオカムラのファンになってもらえるよう工夫」(内山)


――イベントはゼロからの企画だったそうですね。どのあたりに苦労しましたか?

内山:私は2024年8月に入社し、社内の様子もわからないまま、案件に携わることになりました。しかも、わずか1か月ほどでつくり上げなければならず、まさに時間との闘い。ところが、チームのメンバーと協力して進めていると、「キービジュアルもつくろう」「ここにはパネルが必要だ」と話が膨らみ、「この短時間でそこまでやるの?」と正直、戸惑いもありました。同時に、お客様に喜んでもらうには「ここまでやらないといけないんだ!」とも思いました。当日は、小学校低学年から中学年を中心に大勢の子どもたちが来場。子どもたちはもちろん、親御さんにとっても企業のショールームは興味深かったようで、みなさん楽しんでいました。
 


――もう一つ大きな試みが、応援購入サービスMakuakeの活用ですね。その背景や実施してみての手応えを教えてください。

内田:新たな話題づくりと認知度向上のために実施しました。これまでオカムラの製品はBtoBが中心でしたので、個人のお客様へのここまで積極的なアプローチは新たな挑戦です。Makuakeの活用は、小売業界でBtoCビジネスの経験を持つ社内メンバーのアイデアでした。イベントの開催タイミングはMakuakeの申込期間の最終週に合わせ、実際に体験してから応援購入を決めてもらえるようにしました。

沼田:反響は予想を大きく上回りました。募集を開始してすぐに目標を達成し、終盤ではイベント参加者からの応援購入も増え、「実際に試せて良かったです」というお声もいただきました。他にも「こういうおしゃれな学習家具を探していた」「子どもが喜ぶ姿が楽しみ」と期待する声が多かったです。実物を見ないで応援してくださる方が多いことから、デザインへの評価の高さを感じました。当初は中学受験が多い都心部からの購入が多いと思っていましたが、全国各地から応援していただきました。
 
「Makuakeでは、オカムラという会社自体への応援コメントも届いて、うれしい気持ちに」(沼田)
「Makuakeでは、オカムラという会社自体への応援コメントも届いて、うれしい気持ちに」(沼田)

――新しい形のプロモーションに取り組んだ感想をお聞かせください。

岩田:今回実施したMakuakeでの話題づくりや、実物を試してもらえるイベントの企画などは、今後、限定モデルや数量限定品など、戦略的な販売をする際に応用できそうです。個人のお客様にとっては決して安くない買い物になるため、寸法や取り付け方など細かな点まで質問いただくことが多く、それに応える情報の見せ方や発信の仕方も学べました。

――今回、mirumioをOKAMURA Lifestyle Storeでの専売にした理由は何でしょうか。

岩田:オカムラが「お客様と長くお付き合いしていきたい」という思いから、密にコミュニケーションが取れる自社ECサイトでの販売にしました。

沼田:Makuakeの募集終了後から、一般販売開始までの間は、「いつから買えるのですか」という問い合わせが多く寄せられました。メディアや販売店からも取り扱いについての問い合わせがあり、反応は非常に良かったです。

――今後OKAMURA Lifestyle Storeではどのような提案をしていきたいですか。

沼田:販売戦略としては大きく2つを考えています。1つ目は、長く使ってもらえるための施策です。オカムラに多い法人営業は定期的なフォローアップがありますが、個人のお客様はどうしても販売後の継続的な関係づくりが難しい面があります。mirumioを子どものうちから使ってもらい、社会人になってもオカムラのチェアを選びたいと思っていただくために、お礼状や限定の特典などを用意して継続的なコミュニケーションを図っていきたいと考えています。
2つ目は、自社ECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」ならではの施策です。自社ECサイトを介したDtoC(※4)によってお客様と直接つながることができるので、よりきめ細やかなサービスを提供できます。大手ECモールはセール期に多くのブランドが参加するため、どうしても埋もれやすいのですが、OKAMURA Lifestyle Storeにアクセスしてくださるのは、明確な目的を持ったオカムラのファンの方がほとんど。そういう熱心なお客様に特別な還元を考えていきたいですね。自社ECサイトは自由度が高いので、いろいろな工夫ができそうです。

※4:Direct to Consumerの略。メーカーが自社ECサイトなどで直接消費者に製品を販売するビジネスモデル
 


企画から販売まで、社内共創によって実現したこと

「部門間の連携がなければ、mirumioは成立しなかったかもしれない」(岩田)
「部門間の連携がなければ、mirumioは成立しなかったかもしれない」(岩田)
――さまざまな部門と連携してみていかがでしたか。社内共創で得られたことや苦労した点などをお聞かせください。

岩田:1つのプロジェクトに、ここまでさまざまな立場の人が関わるのは、オカムラではまだ少ないケースかもしれません。どういう製品にするか、品揃えはどうするか、ウェブサイトの製品紹介ページに載せる情報をどうするかなど、オフィス環境事業のさまざまな部門のメンバーがそれぞれの立場で意見を出し合うことで視野が広がりました。

内田:今回の連携では、みんなが未経験の領域に挑戦していたからこそ、知恵を持ち寄って1つの仕事ができたのだと思います。1つの仕事といっても、皆が同じことをしたのではなく、自分が受け持つ領域をそれぞれが責任感を持って成し遂げたからこそ、お互いの信頼関係、部門を超えたつながりが生まれたと思います。こうした共創のアプローチは、学習家具に限らず、他製品の開発やプロモーションにも活かしていけそうです。

岩田:当たり前だと思っているやり方を一度疑ってみることも大事ですよね。いろいろな部門と連携して意見を出し合うことで、より良いものが生まれる気がします。
 
短期間でイベントを企画した内山と販売を担当する沼田。お客様の喜びのために妥協しない姿勢に驚いたと話す
短期間でイベントを企画した内山と販売を担当する沼田。お客様の喜びのために妥協しない姿勢に驚いたと話す
沼田:私は販売担当なので後半から参加しましたが、みなさん視点や意見がさまざまでも、全員が「いいものをつくろう」「成功させよう」という思いから発言していることが伝わってきました。打ち上げの飲み会でもずっと「もっとこうしたらいい」「こうできたかも」と話していたくらいです。議論の中でお互いの理解が深まりましたし、今後の部門間連携もしやすくなったと感じています。

内山:私は入社したばかりで、前職では小規模なチームで仕事を進めていたこともあり、これだけ多くの人が集まるプロジェクトは新鮮でした。人が多いと進めるのに時間がかかりますし、意見の相違も出やすくなりますが、一方でたくさんの人が意見を出し合うことで、より良いものを生み出せることを実感できました。特にオカムラのクオリティへの妥協しない姿勢は大きな刺激になっています。
 

これからも「届けたい相手に本当に喜んでもらえるもの」を目指す

――mirumioの今後の展望、そしてオカムラのパーパス「人が活きる社会の実現」にどう取り組んでいくかを教えてください。

岩田:家具という観点だけでなく、「学習」をキーワードにして、例えば塾などの学習関連事業者とも連携しながら、子どもの学習環境をより良くする提案をしていきたいと思っています。仕事も学習も「チェアやデスクを使って作業する」という点は共通です。人生のさまざまな場面でオカムラの家具を使ってもらえるよう、これからも開発を続けていきたいと思います。
 
「mirumioの新色展開など、新たな話題づくりも検討したい」(岩田)
「mirumioの新色展開など、新たな話題づくりも検討したい」(岩田)


内田:コロナ禍以降、在宅ワークが浸透して「自宅にいながら働くための家具」という「新しい風」が吹き、それが今回のmirumioにつながっているわけですが、今後は「吹いてきた風」を後で感じるだけでなく、次に「どんな風が吹くか」を予想してプロモーションを仕掛けていきたいと考えています。もちろん、いくら良いプロモーションをしても製品が確かでなければ売れません。だからこそ、「本当に喜んでもらえるもの」を目指さないといけない。mirumioは、もともとオカムラ製品の持つ技術や開発力をベースに、新たな価値を創造することにもつながったと思っています。私たちのプロモーション活動は、その価値をお客様に正しく広めるためのものです。
 

「オカムラ製品の価値を伝え、お客様が活き活き過ごすことに貢献したい」(内山)
「オカムラ製品の価値を伝え、お客様が活き活き過ごすことに貢献したい」(内山)
内山:私はOKAMURA Lifestyle Storeを通じて、mirumioの購入者と長期的な関係を築き、オカムラの製品価値を伝えていきたいです。また、内田さんが言う「風を読む」ことに加えて、「風を起こしていく」ことも大事にしていきたいです。mirumioのチェアに座ってもらったり、他のオカムラ製品に触れてもらったりする機会を増やすことで、より好ましい座り方やチェアの価値を理解してもらいたいですね。良いチェアやデスクを使うことが、その人の活き活きした暮らしにつながるという価値を伝えていきたいと思います。
「オカムラは問い合わせへの返信に画一的なAIを使わず、お客様一人ひとりに合わせて対応」(沼田)
「オカムラは問い合わせへの返信に画一的なAIを使わず、お客様一人ひとりに合わせて対応」(沼田)
沼田:とても良い製品ができたので、私はお客様の購入体験をより良いものにしていきたいです。オカムラの製品を検討してくださる個人のお客様は「オカムラ博士」といえるくらい驚くほど詳しく調べてくれている方も多く、そういうファンの方々を大切にしていきたいですね。内田さんの言う「本当に喜んでもらえるものを目指す」というのはまさにその通り。決して押し売りするつもりはありません。ただ、人生を一緒に過ごすための選択肢の中にオカムラの家具があってほしい、オフィスだけでなく「人が活きる場」といえる自宅で過ごすときにもオカムラを選んでもらえたら、これほどうれしいことはありません。

座談会後記

実際にショールームでmirumioを試してみると、大人にとっても快適なチェアの座り心地や、シンプルでおしゃれなデスクのデザイン性に驚きました。子どもの学習生活に寄り添い、共に成長していく「相棒」として、とても魅力的です。従来の学習家具を「子どもが好ましい姿勢を身につける」家具として捉え直し、長年の人間工学の研究に基づいた設計で、新たな価値を提案したmirumio。製品開発からプロモーション、販売まで、部門を超えた共創の経験が、今後どのような新しい価値を生み出していくのか期待が膨らみます。(編集部)


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