今回は、京都府宇治市の笠取小学校で実施する「笠取スマイルプロジェクト」に、オカムラが参加した事例をご紹介します。学校のデスクを「未利用材」を使った天板を採用して作る取り組みで、先日デスクの贈呈式が行われました。
子どもたちが自分たちの手で集めた木材から、自分たちが使うデスクが作られるというこのプロジェクト。参加したマーケティング本部 パブリック製品部のメンバーから紹介してもらいました。
子どもたちが集めた未利用材を、子どもたち自身が使う教室用デスクに
オカムラグループでは、オフィス家具や学習家具、店舗用什器などをはじめさまざまな製品に木材を使用しています。同時に、地域社会や子どもたちが木材に親しみ、理解を深めるための教育「環境出前授業」などにも取り組んできました。
今回の「笠取スマイルプロジェクト」参加は、取引先であるエースジャパン株式会社さんから声をかけていただいだのがきっかけです。エースジャパンが京都にあるというご縁から「森林の手入れや木を伐る過程で発生する枝葉などの不要な部分である『未利用材』を家具に活用する取り組みを通じ、宇治市の小学校の子どもたちが地域課題解決に取り組む」という内容に共感し、お手伝いをすることになりました。
笠取小学校と「笠取スマイルプロジェクト」とは
笠取小学校は、京都府宇治市内の緑豊かな場所にあります。児童数19人と小規模な学校ですが、子どもたちは先生や家族、地域の方々との交流や様々な体験を通じて日々学んでいます。「笠取スマイルプロジェクト」は、子どもたちの「みんなのふる里 笠取にたくさんの笑顔を!」という思いから始まったもので、子どもたちの気付きの質を高め、探求心を育てることを目指しています。2回目となる今回、オカムラが参加しました。笠取には森林が豊富にありますが、大雨の時など未利用材が道路やダムに流れ込み、被害を引き起こす可能性があります。このような環境で、校長先生は「未利用材を活用したデスク」の存在を知り、同じ京都府内のエースジャパンに相談。オカムラの環境出前授業も連携して、学校裏手の森林から集めた枝や葉を教室用デスクに生まれ変わらせる、という教育プログラムを実施することが決定しました。
プロジェクト支援で子どもたちと一緒に行った3つのこと
1.環境出前授業の実施
まずは木材についての理解を深めてもらいたいという思いから、環境出前授業を実施しました。これはサステナビリティ推進部やワークデザイン研究所などに所属するオカムラ従業員が講師になり、環境やものづくりについて子どもたちに伝える社会貢献活動の一つです。子どもたちがものを大切に思う心を養い、自分たちにできることを考えるきっかけをつくることを目指して行っている環境出前授業。今回は木材についての学びを深めたうえで、オカムラはむだがなるべくでないよう工夫して製品を作っていることを紹介しました。その後、実際にデスクの材料となる未利用材を、すぐ近くの学校林で皆で拾い集めました。当日は子どもたちや先生以外に、地域の方々も参加し、倒れてしまった木や、落ちている枝や葉を拾いました。これらがそのままになっていると地面を覆い日当りが悪くなったり、山での作業の妨げになったりするのです。子どもたちは競い合うようにたくさんの枝葉を拾っていました。拾い集めた枝葉は、その場で木チップへ加工します。子どもたちはできたてで、まだ温かく湿ったさまざまな色のチップを興味深そうに触っていました。そして、これが自分たちの机になることへの期待に胸を膨らませていました。
2.天板づくりを担当する会社を見学
今回のプロジェクトで未利用材を活用した天板部分を作っているエースジャパンへ、子どもたちが見学に行きました。チップにした未利用材を合板に生成する過程を目の当たりにし、家具として作られていくことが実感できたようです。3.贈呈式
天板部分以外の制作はオカムラの生産拠点で行われ、2023年12月4日、いよいよできあがったデスクを学校に渡す贈呈式が行われました。当日、子どもたちはSDGsや地域について学習したことを発表。笠取スマイルプロジェクトの説明があったり、環境出前授業での学びも活かされた内容で、笠取を大切に思う気持ちが伝わりました。
そして、自分たちが拾い集めた枝や葉が使われたデスクを見た子どもたちは歓声とともに集まって、天板をなでてみたり、においをかいでみたりしていました。材料の収集から製作、すべてに自分たちが立ち会えたという感動が伝わってきました。全校児童19人全員分のデスクをさっそく翌日から使い始めています。
今回のプロジェクトにオカムラとして参加して
「この机を使えることを誇りに思います!」環境出前授業で聞いた、笠取小学校児童の言葉です。毎日使う学校の机は子どもたちにとって特別な存在なのだと思いました。今回のプロジェクトを通して、子どもたちに未利用材の課題や利活用を学んでもらいましたが、ものを大切にする心も育まれたのではないかと思います。私自身もあらためて、家具が人に与える力を実感しました。
社内では自部門の他にサステナビリティ推進部、京都支店、各生産拠点など多くの部門のメンバーが協力してくれたことに感謝しています。今回の経験を、オカムラとしての社会貢献、新規ビジネスなどに活かしていこうと考えています。