オカムラで働く人に、仕事へのスタンスやエピソードを聞く「My Okamura Way」。オカムラがめざすのは、「人が活きる」社会の実現です。そこに向けてオカムラのメンバーが何を実践しているのか、担当する業務、働き方について思うこと、仕事以外の生活などについて聞きます。
My Okamura Way Vol.3
現在、エンジニアリング部 首都圏センター コンストラクション工事課に所属する宮澤知嵩(みやざわ・ともたか)。2018年に新卒で入社、金庫などのセキュリティ製品や、防火扉などの特殊扉のメンテナンス業務に携わったあと、2022年から施工現場で製品の組み立てから納品までを担当する「施工管理」の仕事をしています。就活の面接で金庫扉などを取り扱っていると知り、好奇心を刺激されてオカムラを選んだそうです。「人と違うチャレンジにワクワクする」と語る宮澤のこれまでとこれからについて聞きました。
メンテナンスから施工管理へ。「また一緒に」の一言でやりがいを実感
――最初に、入社以来、担当してきた業務について教えてください。宮澤知嵩(以下、宮澤): 2018年に技術職で入社し、セキュリティ施工部 金融設備保守課へ配属されました。その後、部門統合でエンジニアリング部 首都圏センター セキュリティメンテナンス課に配属となり、部署名は変わりましたが、計4年間メンテナンス業務を担当しました。具体的な業務は、金融機関の金庫の設備や扉、インフラ施設の特殊扉(防火扉、水密扉、気密扉など)といった、セキュリティに関する製品の点検やトラブル対応など、いわゆるアフターフォローです。たとえば、定期点検で金庫扉に異常がないか確認したり、セキュリティシステムに通信などのトラブルがあった際は原因を探ったりします。
――昔ながらの一般的な金庫は「大きなハンドルが扉についている」イメージですが、今は通信が使われているんですね。
宮澤:そうですね。おっしゃる通り、昔は船を操作する舵輪(だりん)のようなハンドル状の鍵が躯体(くたい)そのものに付いているタイプが一般的で、ハンドルを回して金庫を開錠していました。現在は指の静脈や顔認証で開く金庫が増えていますね。また、金融機関には貸金庫サービスがあり、以前は利用者が鍵を使って金庫を開けるときには、銀行職員の立ち会いが必要でした。それが今では半自動化で、利用者が暗証番号を入力して開錠できるようになっています。
――金庫もテクノロジーによって進歩しているんですね。現在は、メンテナンス業務から施工管理のお仕事に変わったそうですね。
宮澤:はい、2022年からエンジニアリング部 コンストラクション工事課へ異動し、施工管理を担当しています。製品のメンテナンス業務が100%から90%になった状態を100%にしっかり戻す仕事だとしたら、施工管理はゼロから空間をつくりあげるような仕事だと思っています。ゼロから100%の空間を手掛けるんだという気持ちで今の業務に向き合っています。
――異動は希望だったのですか?
宮澤:そうですね。メンテナンスで経験を積むにつれて、現場で組み立てるところから携わる経験もしたいと思ったんです。僕は大学で機械工学を専攻していたので、製品設計の知識もあるのですが、どちらかというとものを組み立てることに興味を持つタイプです。子どものころもブロック玩具で遊ぶのが好きでしたし、自分なりのものづくりをしたいという気持ちから施工管理の仕事を希望しました。
――現在、施工管理の経験は約1年ですが、印象に残っているエピソードはありますか?
宮澤:とあるエネルギー施設の特殊扉を施工したときのことは印象に残っています。異動してすぐに任された仕事で、半年間ほど東京と地方を行き来しました。重量が100キロ以上あるパーツをクレーンで持ち上げ、溶接して一枚の扉として設置するなど、大掛かりな作業もありました。
さらに、さまざまな設備の配置と同時並行で進めるので、とにかく工程管理が重要です。ひとつの作業が遅れると、関わっている他の企業の皆さんにご迷惑がかかりますし、そのエネルギー施設は作業完了日を広報しているので、スケジュールミスは絶対に許されません。工程表の内容を状況に応じて組み替えながら管理を慎重に進めました。無事に納品後、調整の過程で関わった別会社の方から、「施工管理が宮澤さんで良かった。また一緒に仕事ができたらいいね」と言われたときには、「大変だったけれどやってよかった」と実感しました。
――施工管理の経験が浅い中で、いきなり大型物件のメイン担当とあってプレッシャーもあったと思いますが、しっかりとミッションを達成されたのですね。宮澤さんのどのようなところが評価されたと思われますか?
宮澤:社内外関係者と連絡のキャッチボールを早く回したことだと思います。コロナ禍だったこともあり、現場でコロナウイルス感染者が発生して進行がストップすることが度々ありました。でも、期限は決まっているので、とにかくスムーズに進行できるように、社内外の調整をがんばりました。
「施工管理」は、こんな仕事
オカムラは、「製販一体」の企業。企画、設計、製造から、販売、施工、保守メンテナンスまで、自社で一貫して行います。その中で「施工管理」は、お客様である企業に製品を納め、空間をつくるうえでの最後のプロセスを担っています。施工管理の担当者は、お客様はもちろん、営業や空間デザインといった社内の関連部署、施工会社、同じ現場に関わる他社とも向き合いながら、プロジェクトを完遂する重要な役割を果たしています。
宮澤はセキュリティ製品の納品先である銀行の店舗などをメインに担当していますが、一般企業をはじめ、スーパーマーケットやドラッグストアなどの店舗、物流倉庫などの納品先でもオカムラの施工管理担当が活躍しています。施工管理は、オカムラの各事業で販売する製品を確実にお客様に納める、オカムラの「人が活きる」空間づくりのためになくてはならない仕事です。
歴史ある事業と世に長く残る製品、そこに感じるやりがい
――オカムラで働くことを選んだ経緯を教えてください。宮澤:入社前にオカムラの工場見学をしたことが、ひとつのきっかけでした。僕は北海道出身で、除雪車が身近な存在だったのですが、工場見学のあとにいろいろ調べていると、実はオカムラが除雪車のトランスミッションをつくっていたと知って親近感がわきました。その後、就職活動で面接を受けたときに、希望職種の話題になった際に「セキュリティ製品を扱う仕事に興味があればどうか」と言われて、おもしろそうだと思ったんです。
――どんなところにおもしろさを感じたのでしょう?
宮澤:オカムラは一般的にはオフィス家具の会社というイメージがあると思います。中でも、とくにイスは「花形」の扱いなんです。僕は人と違うことにチャレンジしたいタイプなので、オカムラの中でもややニッチともいえる(笑)製品に関わることに興味を持ちました。
金庫や防水板って、普段の生活で目にする機会は少ないですよね。「こんな製品をオカムラで扱っているんだ。じゃあどうやってつくられているんだろう」と、製品そのものに興味をかきたてられた感じですね。
――好奇心旺盛な宮澤さんにはうってつけの職場だったわけですね。これまでのお仕事を通して、仕事観や働き方に影響を及ぼしたものはありますか?
宮澤:これという経験がひとつある、というわけではなく、先輩たちの背中からあらゆる影響を受けました。たとえば、メンテナンス業務においては、豊富な製品知識が必要ですし、金庫扉などは一度納められれば一般的な家具とは違い、簡単に交換できません。長く扱っている歴史があるので古い製品には取扱説明書が残っていないものもあって、先輩の背中を見て仕事を覚えました。
大ベテランの先輩たちは、自分が担当した金庫のことをすべて覚えているんですよね。初めはわからないことだらけでしたが、聞けばなんでも答えてくれるすごい人たちの近くで仕事をしていたので、まずは早く自分のものにしようとがむしゃらに勉強しました。その結果、メンテナンスから施工管理に異動してすぐに、先ほどお話したエネルギー施設のような大きい案件を任せてもらえることになりました。ある程度の製品やシステムの知識があったことは、新しい業務に取り組むうえで強みになったと思います。
こうした経験を通して今思うのは、少し古い考えかもしれませんが「若い時の苦労は買ってでもせよ」です。とにかく打席に立たないと、ヒットもホームランも打てません。経験できることは全部やりたいですし、回り道に見えても実は近道だったなんてことはざらにあります。「あらゆる経験を糧にする」というのが、今の自分にとっての仕事観ですね。
映画やドラマも、ついつい仕事モードで見てしまう
意識的にオン・オフをはっきりさせるタイプで、休日は映画やドラマを観ることが多いという宮澤。「ただ、作品中に銀行や金庫扉が出てくると気になって調べてしまいます」といいます。「映画『オーシャンズ11』で金庫を破壊するシーンも、いろいろツッコミながら観ていました。ドラマの『半沢直樹』は、舞台が銀行なので金庫のシーンも多く、どこの金庫を使っているんだろう?と調べたことも。……ということは、実はオン・オフがはっきりしていないのかも(笑)」
オカムラの技術を継承し、次世代につなげる役割を果たしたい
――この先、仕事を通してどんな自分になりたいですか?宮澤:オカムラの技術を次世代に引き継いでいける人になりたいです。今、難易度が高い現場は、主に先輩たちが担っているのですが、いずれ世代交代の時期がやってきます。同じ仕事のやり方を続けているだけでは、現場対応ができる人員も不足するという危機感があります。いま担当しているお客様のうち、銀行は実店舗が減少しているものの、セキュリティ面の強化はこれからも変わらず求められます。また新築ビルに限らず、災害対策として特殊扉の需要も増えています。「この人じゃないと難しい現場は回らない」と頼られている先輩たちの技術や知識を吸収しながら、自分自身もさらに経験を積みたいです。
――言葉の節々から入社6年目とは思えない強い責任感が伝わってきて、素晴らしいです! 宮澤さんにとって、オカムラで働くことはどんな点が魅力ですか。
宮澤:オカムラは生活のあらゆる場面に関係する製品を手がけているので、自分が何気なく見ていた景色にオカムラ製品があって、それぞれに携わった先輩社員たちのドラマがあると思うと感慨深いです。除雪車のトランスミッションの話だけではなく、学生時代のアルバイト先であるコンビニに、オカムラの什器が導入されていると知ったときも驚きました。そういう話を聞くと、世に出てから長く残る製品に携わりたいなと思います。
あとは、先輩方の仕事にかけるプライドにも、魅力を感じています。入社してすぐの頃、かなり昔に納品した古い金庫扉が開かなくなるトラブルが発生したのですが、正直当時は「古いんだから仕方ないし、開かないなら壊しちゃえばいいのに」と思ったんですよ。でも、先輩は必ず修理するという強い意志で、仕事に向き合っていた。その姿勢に「自分もプライドを持って仕事をしないと!」と気持ちが新たになりました。
「強みを発揮できること」が活き活きとした自分をかたちづくる
――宮澤さんは、オカムラの「人が活きる」に対してどんなイメージを持っていますか?宮澤:「その人自身の力が最大限に発揮できている状態」のようなイメージを持っています。僕で言えば、工期を考えて、パズルのように作業とスケジュールを組み立てることが好きですし、得意です。大変なことも多いですが、やりきったときの達成感はひとしおです。
――「活き活き」するのは、どんなときですか。
宮澤:メンテナンス業務を担当していたころ、設備のリニューアルに携わりました。お客様から「新品みたいにきれいにしてくれてありがとう」と声をかけられたとき、お客様の「活き活きした状態」に貢献できたと感じたことがありました。今は、途中でいろいろトラブルがあっても、無事に納品できた後にお客様に感謝されると、やりがいを覚えますし、自分も「活き活き」していると感じますね。
インタビュー後記
入社以来、主にセキュリティ製品のメンテナンス、施工管理と、技術職として歩んできた宮澤。インタビューを通して感じたのは、仕事に対する真摯な姿勢と尽きない興味でした。百戦錬磨の先輩たちから積極的に知識や技術を学び、もっと施工管理の仕事を理解したいと努力しながら、自身のキャリアや担当業務の今後のあり方も意識しています。宮澤は「担当しているのは、オカムラ製品の中でも多くの人の目に触れる機会はなかなかないけれど、一度納めると、長く世の中に残るもの」と言っていました。仕事のやりがいは、そんなところにあるのかもしれません。(編集部)