My Okamura Way Vol.21
オカムラグループがマレーシアに2018年現地法人として設立したOkamura International Malaysia Sdn. Bhd.(以下、OIM)で働く山谷 舞子(やまたに・まいこ)。営業職として、新規顧客開拓、顧客のオフィス移転、改装の際に空間デザインや家具の提案などを担当しています。日本国内拠点での海外営業経験を経て、マレーシアへ赴任。クアラルンプールでの生活に慣れてきたところで、自身のこれまでとこれからについてインタビューしました。
若く多民族の国 マレーシアでオフィス環境事業の営業を担当
――はじめに、今の担当業務について教えてください。山谷 舞子(以下、山谷):営業として、日系企業を中心に新規顧客の開拓や、客先のオフィスの移転・改装時に空間デザインとオフィス家具の提案をしています。OIMはマレーシアでオフィス家具や商業施設什器を販売している企業です。多国籍企業やマレーシアの国内企業向けにはオカムラ製品の販売をメインに、日系企業のお客様へはオフィスの内装デザイン、施工も含めて担当しています。OIMは現地法人なので、私は本社であるオカムラをつなぐ窓口業務も担当しています。
――OIMのメンバーや社内の雰囲気はいかがですか。
山谷: 事務所はクアラルンプールにあり、私のほか日本から赴任しているのは3名で、現地メンバーや現地採用も含め20名ほどの会社です。若手が多く、20代のメンバーも多いですし、営業を中心にとりまとめを担当する女性従業員は30代かな。マレーシア自体平均年齢が若い国ですしね。多国籍文化の国でもあるので、マレー系、中華系、インド系などそれぞれがもつ文化を共有し、尊重しています。職場でも同様で、例えば旧正月の期間は中華系のメンバーが、ラマダンの時期はマレー系メンバーが休暇を取ります。自然にお互いを受け入れていますね。
顧客は日系企業が多いですが、それだけに留まらないよう現地の大企業や多国籍企業をターゲットに新規開拓も注力しています。当然ローカルのメンバーは現地の状況をよくわかっていますしお客様との話もスムーズで、活躍している人も多く頼りになります。売り上げを伸ばしていこうと皆で緊張感やコスト意識も持ちつつ、協力して頑張っています。
――2024年に赴任して1年半以上過ぎたとのこと、もうすっかり慣れましたか。
山谷:これまであっという間で、慣れるまでは半年かかりました。マレーシアではマレー語や中国語など数か国語が使われていていますが、ビジネスシーンでは英語を使うことが多いです。こちらでは、日本で担当していた海外関連の業務や海外出張の時以上に、オカムラ製品を販売する大変さを感じます。日本にいる時は販売店を窓口に進める業務が多かったのですが、販売店はオカムラをよく知っているので、仕事を進めやすかった面も今から思えば多かったのかなと。今、マレーシアのローカルのお客様とのやり取りはオカムラはこんな会社です、と伝えることからのスタートですから。
「オカムラって何の会社?」を知ってもらうことから
――企業認知向上はオカムラとして課題の一つですが、海外では国内以上にまずどんな会社か知ってもらうことからのスタートなのですね。工夫していることはありますか。
山谷:日本と比べるとオフィスがOAフロアではなかったり、固定席のみだったりする企業もいまだに多いので、オカムラは家具や空間だけでなく、さまざまなエビデンスを基に働き方そのものから提案ができると伝えるようにしています。あと、やはり実際に製品を試してもらうと反応が変わる場合が多いです。「(ローカルの家具と比べて)高価格なだけあるね」と納得していただけます(笑)。会社のメンバーも増えてきたのに伴い今年の夏に事務所が移転しました。ショールーム機能を兼ねているので多くの方にオカムラ製品に触れてもらっています。
――企業認知度は一例で、海外に向けた仕事といっても日本で担当するのと、マレーシアに来てから、そして国によっても進め方は異なるのですね。山谷さんにとってキャリアの転機になったのではないでしょうか。
山谷:はい。入社して物流システム事業の販売促進などを数年経験後、当時の社内公募制度で海外営業本部に異動しました。在籍年数に伴い、海外赴任を希望するのも選択肢にありつつ、自信が持ち切れず迷っていました。そんな中、ここ数年で海外営業本部に限らずですが、チャレンジ制度などの社内人事公募が拡大して他部門からの異動者や若手で海外拠点に赴任する人が増えました。その状況を見て、やはり行ってみてもいいのではと考えが変わったんです。アジア地域での勤務を希望していたところ、辞令が出てマレーシアに来ました。数年頑張ってみたいなと考えています。
――さまざまな部門で広く人財を募集するチャレンジ制度や、語学留学希望者を募るグローバル人財育成の制度もあり、多様なメンバーが海外関連業務に携わるようになったのですね。とはいえ、女性従業員で海外赴任している人はそんなに多くなさそうですが……。
山谷:客先の日系企業でも、女性で赴任してきている方はまだ少ないと感じます。オカムラでは私のほか、シカゴ支店に在籍している人もいますし、空間デザインの部門から海外拠点に赴任した人もいます。性別関わらず誰でもあてはまることですが女性は特に、例えば出産のタイミングなどライフプランを考える人も多いですよね。そこを自分の中でふまえたうえで、海外勤務をしたい、数年でも行きたいと希望する人が増えるといいなと。実際やってみればあっという間の期間だと思いますし、得られるものは多いと伝えたいです。
多民族の国ならではの暮らしを楽しむ
さまざまな文化を持つマレーシア。OIMもマレー、中華、日本などいろいろなバックグラウンドのメンバーがいるので、それぞれの文化をテーマにしたランチ会を開催して交流を深めているそう。同僚と外食でいろいろな料理を楽しむこともあるけれど週末は「お味噌汁、卵かけごはんを用意して自宅で食べるのが最高です(笑)」とのこと。プライベートではジムやプールで体を動かし、ゴルフを始めるのも検討中。「マレーシアでは中国語もよく使われます。中華系のメンバーや客先に対応するため、そのうち中国語の勉強も始めたい」(山谷)
根底にある企業理念が、顧客に安心感をもってもらうきっかけに
――山谷さんは、これからどんなことをしてみたいですか。山谷:先ほどもお話ししましたけれど、まずはマレーシアのお客様にオカムラをより知ってもらいたいです。海外営業本部としても、日本企業らしいオカムラのものづくりのよさを世界に訴求するため、“To the last detail”というテーマで海外向けのブランディングを訴求しています。オカムラ製品や提案は自信をもってお客様に勧められるので、いいものが必要ならオカムラに相談しようと思っていただけるよう努めたいです。
――海外営業本部は事業独自のブランディングを推進していますね。オカムラ全体の企業理念やパーパス「人が活きる社会の実現」を発信することも、企業ブランディングとしての役割があります。
山谷:お客様へのプレゼンは、オカムラという会社の紹介から始まります。私が所属する海外事業だけでなく、オカムラグループ全体での共通イメージがあるのはいいことだと思います。事業ごとに仕事の進め方や国ごとに文化が違っても、根底にあるものは同じという企業理念オカムラウェイの考え方は、お客様からの信頼につながるので。
環境が働くモチベーションに与える影響は万国共通
――多事業展開や複数の海外拠点があっても、全体の基本は共通という姿勢が、外部からの信頼につながるんですね。大きく変わった環境で勤務してみての実感でしょうか。山谷:国やそこでのアプローチの方法は違っても、オフィス環境事業として担当する仕事自体が大きく変わるわけではないとわかりました。仕事への姿勢で言えば、私自身は自分が興味があることを実現させながらやっていけたらと思っています。「自分の人生の中で、自身が所属するオカムラとどう付き合うか」という視点で考えることもありますね。人事制度の活用や上司に希望を伝えることができる環境や風土は、オカムラのいいところだと思います。
――せっかく働くなら所属する環境に共感しながら、その中でできる自分がやりたいことを発信したりチャレンジできたり、少しでも気持ちを上げられるほうがいいですね。
山谷:そうですね。これまで島型対抗型のいわゆるトラディショナルなレイアウトと、フリーアドレス、両方のオフィスで働いてきました。私はやはり自由度が高くリラックスできる環境で働くとモチベーションも成果も上がります。カフェなどで作業をすることもありますが、コーヒーの香りとともに仕事のやる気も増したり、素敵な空間で気分が上がったりするのを実体験として持っています。よい空間で働きたいのはどの国のワーカーも共通だと思います。マレーシアの働く人が幸せになるオフィスをオカムラが手掛けるため、経験値を積んでいきたいです。
インタビュー後記
国内で携わった海外向けの営業経験や語学のスキルをもとに、希望を叶えマレーシアで営業に取り組む山谷。印象的だったのは「どこでも仕事自体はそこまで変わらない」という言葉です。オカムラを知ってもらうのが大変、というエピソード後に出たコメントとして意外な気もしましたが、続いて「根底が一貫していれば」という声がありました。オカムラグループ共通要素にオカムラウェイがあるように、山谷の基本に「働きながら自分のやりたいことができるよう努める」ぶれない姿勢があるようです。またマレーシアからの発信を聞かせてもらいたいです。(編集部)