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育休取得をチームでサポート、若手営業の「育休パパ」ロールモデルに

2025.07.08
育児休職のリアル、働き方の工夫、家族との日々、職場との関係―― 子育て世代の「今」と向き合う「子育て世代が活きるリアル」では、コーポレートコミュニケーション部の古賀 小谷佳サステナビリティ推進部の七野 一輝が、子育てと仕事に奮闘するオカムラメンバーの声を紹介します。社内サポート制度の紹介も交えつつ、育児とキャリアを両立するための工夫から、「自分らしく活きられる」選択肢を広げるヒントまで、オカムラの子育て世代の「リアル」をお届けします。

子育て世代が活きる「育児休職のリアル」 Vol.1

物流システム営業部 中部支店の谷口 正敏(たにぐち・まさとし)。2021年に新卒で入社し、営業職として物流システムの提案に取り組んできました。2023年には第一子の誕生を機に、当時在籍していた物流システム営業部 東京東支店で男性営業として初の育児休職を取得。第1子の育児で、2回に分けて取得した育児休職の経験を通じて、仕事や家庭との向き合い方にも変化があったといいます。制度の使い方だけでなく、職場への伝え方や心の準備、そしてその後のキャリアの捉え方まで、谷口に話を聞きました。
2025年5月取材

谷口の育児休職タイムライン

2022年

8月

妻の第1子妊娠がわかる

2023年

1月

上司や支店メンバー、お客様と相談

 

2月

育児休業申請、妻が実家に

 

4月

第1子誕生、1回目の育児休業(出産直後に3週間)
~2回目の育休迄、実家に居る妻子と別居生活~

 

8月

家族3人での生活スタートに合わせて、2回目の育児休職(1か月)

2025年

3月

中部支店に異動(家族3人で名古屋へ)


育休をとるべきか迷うも、周囲が後押し

――はじめに、育児休職(以下、育休)を取得された経緯を教えてください。

谷口 正敏(以下、谷口):妻の妊娠がわかってから、「自分も育休という選択肢があるのかもしれない」と初めて意識しました。それまでは、「育休」ほど大げさなものではなくても、出産後に数日休めれば十分かなとも思っていたんです。
それでも、社内の先輩や同期たちは口を揃えて「絶対に取ったほうがいい」と言ってくれました。特に、子育て経験のある先輩たちが、「最初の時期は本当に一瞬だから、ちゃんと関われる時間を持ったほうがいい」と背中を押してくれたんです。そこで初めて、自分の仕事だけじゃなく、“家庭にいる時間の価値”についても真剣に考えるようになりました。

――まだ若手ですし、休むプレッシャーのようなものもあったかもしれませんね。

谷口:それはありましたね。当時は営業の仕事にも慣れ、勢いに乗ってきたタイミングでした。規模の大きな新規案件が続いていて、実績の数字も伸びていたので、育休でその流れが止まるのではないかと不安があったことも事実です。また、男性の育休取得がまだ珍しく、長期の休みで案件や人間関係にブランクができることも心配でした。
 
物流システム営業部 中部支店 谷口 正敏
物流システム営業部 中部支店 谷口 正敏
――そのような中で、どのように気持ちを固めていったのでしょうか。

谷口:実は、取引先に育休の事情をお伝えしたところ、「それは素晴らしいですね」「ぜひ取るべきです」と言っていただいて。驚いたと同時に、「こんなにも肯定的に受け止めてもらえるんだ」と安心しました。
自分のなかでは“申し訳なさ”が先に立っていたのですが、それを“応援”に変えてもらえた感じでしたね。こうして周囲が自然に背中を押してくれたことで、育休取得への迷いが少しずつ払拭されていきました。
 
「仲間やお客さま含め、周囲に応援してもらえたのがうれしかった」(谷口)
「仲間やお客さま含め、周囲に応援してもらえたのがうれしかった」(谷口)
――職場での引き継ぎや準備はいかがでしたか?

谷口:私の所属していた東京東支店では、営業の男性が育休を取るのは初めてだったんです。だからこそ、上司にもかなり早い段階で相談して、「どうすればお客様に迷惑をかけずに済むか」「誰に何を引き継ぐか」を一緒に考えました。チームのメンバーもすごく協力的で、「前例がないからこそ、みんなで仕組みをつくろう」と前向きな雰囲気をつくってくれたのはありがたかったですね。

――社内のサポート体制や制度理解の面ではいかがでしたか?

谷口:ちょうど同期の七野さんがDE&I推進室で育休制度を担当しており、気軽に相談できたのも心強かったです。自分のケースに合った制度の使い方をアドバイスしてもらえたことで、「これならいける」と確信を持てましたし、社内で育休が“特別なもの”ではなく“ちゃんと使うべき制度”なんだと実感できました。
周囲のいろいろな方からのサポートがあったからこそ、「絶対に後悔するから、思い切って取ろう」と決断することができたんだと思います。
 

“家族になる時間”―― 2度の育休で得た実感と変化

――実際の育休期間は、どのような日々を過ごされたのでしょうか?

谷口:実は、育休を2回に分けて取得させてもらったんです。1回目は2023年春、出産直後に3週間の産後パパ育休を取りました。妻が退院してすぐから本格的に育児が始まったので、最初からなかなかハードでしたね(笑)。慣れないおむつ替えやミルク、寝かしつけ…… 夜中も頻繁に起きていたので、正直、こんなに大変なのかと思いました。
 
「初めての育児は慣れないことの連続。こんなにハードなのかと驚いた」(谷口)
「初めての育児は慣れないことの連続。こんなにハードなのかと驚いた」(谷口)
――育休中、仕事との距離感はどのように保っていましたか。

谷口:育休を、お伝えしているお客様もいらっしゃいましたが、ご存じない方もいるのでコミュニケーションには気をつかいましたね。具体的には、あらかじめ育休中の就業申請をしていたので、その時間の中でメールや社内ツールをチェックしていました。自分としては「できるだけ職場に迷惑をかけたくない」という思いが強かったですし、その分、育児と仕事の両立の難しさを実感する機会にもなりました。
 
「私の職場として男性育休は初のケース。先輩や上司の丁寧な対応に助けられた」(谷口)
「私の職場として男性育休は初のケース。先輩や上司の丁寧な対応に助けられた」(谷口)
――2回目の育休は、どのようなタイミングでしたか。

谷口: 1回目の育休が終わってすぐは、妻と子どもが妻の実家で過ごしていたのですが、しばらくして再び3人での生活が始まりました。実家のサポートなしでの育児が始まるということで、初回は「育児に慣れる期間」だったとしたら、2回目の育休は「新たな生活を立ちあげる期間」だったといえるかもしれません。

――新しいライフスタイルになって、生活の変化、そしてご自身の心境の変化はありましたか。

谷口:自分が主に担当していたのは、食器洗いや風呂掃除、掃除機がけなどの家事全般でした。家庭内のルーティンを当たり前にこなす習慣は、今も自分の役割として続けています。
そして、2回目の育休を過ごす中で、「家族ってこうやって形になっていくんだな」と実感しました。育児を通して“父性”が芽生えたというか、少しずつ「自分はお父さんなんだ」と思えるようになっていった気がします。単に制度を使っただけでなく、“家族になる時間”を過ごせたことで、自分自身も変わっていったように思います。

――職場での対応や反応はいかがでしたか?

谷口:2回目の取得になると、周囲も対応に慣れていて、引き継ぎもスムーズに進みました。逆に育休の取得が「特別なことじゃない」という雰囲気がチームにできていたのだと思います。
 

「子どものために」が新たなモチベーションに

――2回目、1か月の育休から職場復帰されたわけですが、何か変化は感じられましたか?

谷口:2回目の育休明けは、職場がすっかり育休慣れしていて、引き継ぎもスムーズに行われたため、大きな違和感なく復帰できましたね。ただ、自分自身の「体力」が思った以上に落ちていて(笑)。毎日の育児で夜は細切れ睡眠だったので、いざ外に出てフルで動くとなると最初はかなりしんどかったです。
 
「外回り営業は体力勝負。復帰後は徐々にペースを取り戻した」(谷口)
「外回り営業は体力勝負。復帰後は徐々にペースを取り戻した」(谷口)
――働き方に対する意識は変わりましたか?

谷口:それは本当に大きく変わりました。「早く帰って子どもに会いたい」と強く思うようになりましたし、自然と“時間を意識して働く”スタイルにシフトしました。限られた時間のなかで成果を出すにはどうしたらいいかを考えるようになって、今まで以上に1日の時間の使い方を大切にするようになったと思います。

――ご家庭と仕事の両立のために関連する制度も利用したのでしょうか。

谷口:保育園が始まってからは、子どもが体調を崩すこともあって、在宅勤務を活用することが増えました。自宅で対応できる環境があるだけでも、精神的にすごく安心感があります。また、私自身はあまり使っていないんですが、周りの男性社員では職場(上司)と調整をし、フレックス制度を活用している人も多くて、保育園送迎に合わせて出社時間を調整するなど、柔軟に働いている姿をよく見かけます。

――やはり、お子さんの存在は大きいですね!育休を経て、ご自身の意識にも変化があったことがわかります。

谷口:育児を通じて、「この子のために頑張りたい」という気持ちが芽生えました。以前は「自分のため」に仕事をしていた感覚が強かったですが、今は「誰かのため」に働いている実感があります。それが、自分にとって大きなモチベーションになっています。
 

若手だからこそ「迷わず育休取ろう」と伝えたい

「育休取得の前例になれたのはよかった」(谷口)
「育休取得の前例になれたのはよかった」(谷口)
――谷口さんの育休取得は、職場にどのような影響を与えたと思いますか?

谷口:私自身が若手で、しかも営業職の立場で育休を取ったことで、少なからず“空気”は変わったと思います。それまで「育休って、あるけど本当に取れるの?」と疑問に思っていた人たちも、「あ、谷口が取れたんだ」と思ってくれたみたいで。その後、物流系の若手男性社員が次々に育休を取るようになった気がしています。(笑)

――まさにロールモデルになりましたね。

谷口:そんな大げさなものではないですが(笑)、「若手でも、営業でも、ちゃんと取れるんだよ」と証明できたのはよかったです。特に、年齢が近い仲間たちが「谷口が取れたなら、自分も大丈夫かも」と思ってくれたのは、素直に嬉しかったですね。

――実際に取得してから少し時間を経た今、あらためて育休をどう捉えていますか?

谷口:育休って、制度を使えばOKではなくて、周囲との信頼関係とか、調整力とか、人間関係も含めた“チームプレー”だと思っています。私が育休を取れたのは、上司や同僚が快く引き受けてくれて、取引先にも理解があって、いろんな人の協力が得られたからです。
育児って日々変化していくし、その変化を見届けるってすごく貴重な経験なんですよね。だからこそ、今後は自分が誰かの育休を支える側に回りたいと思っています。

――育児を通じて、ご自身のキャリア観にも変化はありましたか?

谷口:子どもが生まれてからは、自然と家族で「5年後はどうありたい?」「どこで暮らしたい?」と話すようになり、そこから仕事やキャリアを逆算するようになりました。その結果、いまの名古屋への転勤も、育休や子育てがあったからこそ決断できたと感じています。「どんな暮らしを望むか」「子育てに適した環境か」を軸にライフプランを考えるようになりましたね。実際、通勤時間が短くなったことで子どもと過ごす時間が増え、名古屋の暮らしやすさを実感しています。 転勤って、仕事上のイベントと捉えがちですが、いまは「家族単位の決断」としてポジティブに捉えられるようになりました。むしろ、子育て世代だからこそ、こういう変化を前向きに活かしていきたいと思っています。
 
「転勤は、育休中に家族でライフプランを考えられたからこそ決断できた」(谷口)
「転勤は、育休中に家族でライフプランを考えられたからこそ決断できた」(谷口)

サステナビリティ推進部 七野の解説コラム
制度の活用で育児と仕事の両立も可能

今回のケースには、育児休職の2つの大きなポイントがあります。「分割取得」「長めの引き継ぎ期間」です。
まず、「分割取得」ですが、オカムラの育児休職は、対象期間内であれば2回に分けて取得が可能です(さらに出生後育休も2回まで可能なので、最大で4回取得することも)。谷口は、1回目の出生後育児休職では「育児休職中就業申請」も行い、育児と仕事をしながら休職していました。育休を取りたいけど、仕事を急に手放すのが不安という従業員でも、この「育児休職中就業申請」によって、育児休職中の仕事と育児の両立も可能です。
そして、「長めの引き継ぎ期間」。これを実現したのは、本人もインタビューで語っていたように、チーム内の協力があったからですね。職場で初の男性育児休職取得者だったこともあり、本人、上司、同僚が、さまざまな試行錯誤しながらの引き継ぎ期間だったと思います。そのチームプレーは、すばらしいと感じました。
実は、谷口のお子さんが生まれた後に、同期による3年目研修があり、懇親会で彼が乾杯の挨拶をしました。あのとき、「実は子どもが生まれました!」と嬉しそうに報告していたのを今でも覚えています(笑)。これからも、仕事と育児を自分らしいペースで両立していくロールモデルの一人として応援しています。(DE&I推進室 七野 一輝)


育休期間の過ごし方

育児休職当時の過ごし方は? お子さんの生後1か月、1回目の育休での、ある一日をふり返ってもらいました。
朝のミルクタイム
朝のミルクタイム

朝の時間帯
早朝4:00には、朝いちばんのミルクタイム。夫婦ともに、初めての子育てだったからこそ、昼夜を問わない育児の大変さには驚いたそう。当初は「出産直後の2〜3日だけ休めばいいだろう」と思っていたそうですが、ふり返ると「ちゃんと育休を取得して本当によかった」と谷口。

食器洗い中の1コマ
食器洗い中の1コマ

お昼
おもに食器洗い、風呂掃除、掃除機がけなど。育休中の分担をきっかけに、いまではすっかり谷口の習慣になったといいます。

午後のメールチェック
午後のメールチェック

午後の業務
事前申請した時間帯はパソコンでの作業。「もちろん引き継ぎはしっかりと終わっていましたが、育休のことを知らないお客様への応対など、営業として大切にしてきたコミュニケーションには気を配っていました」(谷口)

お風呂サポート
お風呂サポート


赤ちゃんをお風呂に入れたり、就寝前にミルクをあげたりして、寝かしつけるのもパパがサポート。夜中に目を覚ました赤ちゃんにミルクをあげることも。「生後間もなく頃にしか経験できない慌ただしい毎日も、大切な思い出になっています」(谷口)


育児休業の取得の推進は、オカムラの「働きがい改革 WiL-BE(ウィル・ビー) 2.0」における取り組みのひとつです。「WiL-BE2.0」は「Inner Communication(社内活性)」「Human Development(人財育成)」「Work Rule(制度)」「Work Smart(デジタル技術)」「Work Place(環境)」5つのアクションによって、働きがい改革の実現を目指しています。なお、育児休職の取得推進は、Work Ruleのアクションに含まれます。

インタビュー後記
谷口のインタビューを通じて、男性営業職として初めて育児休職を取得する際の葛藤や悩みに触れることができました。若手として勢いに乗っていたタイミングで不安を抱えながらも、上司や同僚、さらには取引先からの応援に背中を押され、一歩を踏み出した谷口。その決断は、職場に「育休を取ることが当たり前」、そんな空気感を生み出し、制度の定着を促すきっかけにもなりました。「育休は制度を使うだけでなく、周囲との協力で成り立つチームプレー」という谷口の言葉が印象に残っています。本人の決断だけでなく、周囲の理解があってこそ、育児休職の取得という「新しい当たり前」をつくる力になるのだと気づかされました。(コーポレートコミュニケーション部 古賀 小谷佳)

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