オカムラウェイの「人が活きる」という価値観に基づき、従業員一人ひとりが働きがいを感じながら、日々活き活きと働ける状態を実現する社内プロジェクトとして、「働きがい改革 WiL-BE(ウィル・ビー) 2.0」を展開しています。実現に向け5つのアクションを推進しており、そのうちの「Work Smart」アクションでは、「デジタル活用で生産性を向上し、より創造的な仕事にシフトさせる」をテーマにDX戦略部と情報システム部が中心となり、さまざまな施策の検討・導入を進めています。
予測が難しく、変化が著しい現代。次々と生まれる新しいニーズや課題に素早く柔軟に対応するためには、デジタル技術を活用して、社会の変化に合わせてトランスフォーメーションを行うことが欠かせません。経営理念「オカムラウェイ」の根幹にある「人が活きる」という考えに基づいた、オカムラのDX戦略や取り組みをDX戦略部のメンバーからご紹介します。
DX戦略部の宇高です。オカムラでは、DX人財育成プログラム「DXLP」という従業員向け学びの機会を設けています。そして、DXLP参加者による提案から、実施に向けたプロジェクトが社内でいくつも進行中です。プロジェクトの内容は、DXLP参加者自身が日々担当する業務の効率化や、既存システムをよりよいものにするための取り組みが数多くあります。
その中の一つ、商環境事業の主力製品であるゴンドラ(商品陳列什器)の積算、ゴンドラや冷蔵・冷凍ショーケース(以下、冷ケース)のレイアウト作成業務の改善にむけた取り組みが社内リリースの時期を迎えました。今回プロジェクト推進メンバーに集まってもらい、話を聞きました。
DXLPとは
オカムラグループ内の幅広い領域でDXリテラシーの高い従業員を育成することで、現場からDXアイデアが湧き上がる文化を醸成することを目指した取り組みです。各自が日々の業務で感じている課題に照らし合わせて、どのようにデジタルを活かしていくことができるかを考えることで、ただD(=デジタル)を学ぶだけではなく、X(=トランスフォーメーション)を生み出すことを目的としています。
DXLPでは約半年間の学習の成果として、デジタルを活用した業務改善や新しいビジネスのアイデアについて提案する「DXプロポーザル」の提出が必須です。なかでも特に優れたものは社長・役員へのプレゼンを経て、実現に向けてプロジェクト化しています。2021年のスタート以来、「日々の業務を理想の形に変えたい」「新しい価値を生み出したい」という想いを持つオカムラ従業員ならではの発案により、たくさんの成果が生まれています。
作図・積算業務の効率化を目指す「商環じたん道具DX」プロジェクトとは?
まずは、話を聞いたメンバーを紹介します。
商環境事業本部 首都圏第三デザインセンター
「商環じたん道具DX」プロジェクトのサブリーダー。
新潟駐在で、店舗のレイアウトプランや施工の段取りを担当。DXLP第1期生。最近メダカを飼い始めて、卵が孵って10匹いるので欲しい人を募集中。
商環境事業本部 コンストラクション営業部
「商環じたん道具DX」プロジェクト内のゴンドラ積算時短を目指すチーム「セキえもん」リーダー。
担当業務としては積算のフォーマット作成や内装工事受注のための仕組みづくりなど、事業部内の課題解決を目指している。DXLP第1期生。3人の子育てに奮闘中で、休日は習い事の送迎と付き添いで体育館で6時間過ごすことも。
商環境事業本部 首都圏第三デザインセンター
「商環じたん道具DX」プロジェクト内の作図時短を目指すチーム「カクえもん」リーダー。
埼玉エリアのスーパーマーケットの店舗設計が主な担当業務。清家とは同期入社。最近はハマっていることは温浴施設巡りで、特に浅いお風呂でのんびりするのが好き。
商環境事業本部 事業戦略部
「商環じたん道具DX」プロジェクトの事務局を担当。ほかにも、部門横断で進めるプロジェクトをいくつも推進中。DXLPには第3期生として参加。趣味は美術館でのアート鑑賞。
―――今日はよろしくお願いします。DXLPからの提案がきっかけで進めてきた業務効率化に向けた「商環じたん道具DX」プロジェクトは、「セキえもん」「カクえもん」「アタッチ算(アタッチさん)」という3つのチームに分かれているんですよね。それぞれの活動内容を教えてください。
清家:セキえもんチームは、紙の図面から手作業で数えていたゴンドラ積算業務をPC上で自動化する新しいツールをつくっています。自動化でヒューマンエラーをなくし、できるだけミスを減らすのが目的です。現在ほぼ完成していて、2024年12月からプロジェクトメンバーが全国25か所を回って説明会を開催しています。
佐々木:カクえもんチームは、ゴンドラの自動作図ツールと冷ケースの自動作図ツールの2本立てで動いています。作図はスピードだけでなく、正確さも大切です。製品パーツの組み合わせなど細かい知識がないと間違えてしまいがちなポイントも、正確に描けるようにしています。
ゴンドラの自動作図ツールは既にリリース済みで、各拠点で操作説明会をしています。各拠点のローカルルールや顧客ごとに求められる描き方に対応する検討も必要なので、利用者の声を取りまとめています。冷ケースの自動作図ツールは2025年3月頃リリース予定です。
杉本:アタッチ算チームは、棚やフックなど、ゴンドラのパーツを積算するツールをつくります。このチームはまだ動き始めたばかりです。現状と理想の状態を比較して、どうすれば問題解決ができるのかを整理しているところです。
―――商環じたん道具DXというプロジェクト名も、チーム名もユニークですね。どんな由来があるのですか?
杉本:ドラえもんのひみつ道具のように、便利なものをつくりたいという想いを込めました。
清家:DXLPのワークで利用したオンラインのホワイトボードツールを使って、みんなで案を出しました。プロジェクトのテーマ「自動化」を起点にして、自動化といえばロボット、ロボットといえばドラえもん……と連想していったんです。
高橋:DXLPの発表会で社長から「プロジェクトに愛着や想いを感じることができるように、キャッチーな名称をつけることをお勧めする」と聞いたこともきっかけですね。
佐々木:人の名前のように呼べるといいのでは、という意見があって、「積算する」「図面を描く」をそれぞれ「セキえもん」「カクえもん」としたんですよね。「DX村のセキさん・カクさん」案もよかったのですが、未来感はないよね、ということで(笑)今の名称に決まりました。
清家:キャッチーな名称をつけてよかったです。覚えてもらいやすく、社内で多くの人に「セキえもん」「カクえもん」と呼んでもらっています。
―――DXLPで提案されたのは2022年でしたね。これまでを振り返って、どんな変化がありましたか?
杉本:積算や作図の作業に時間を取られて大変だということは、商環境事業部で長年課題とされてきました。DXLPに1期生として参加したのがきっかけで「現状を変えたい、という声をあげてもいいんだ」というマインドと、経営層にプレゼンする機会を得られ、このプロジェクトを立ち上げられました。これまで漫然とやっていた業務を効率化して、お客様との接点を増やしたり、クリエイティブな仕事に挑戦したりできるようにしたいです。クリエイティブな業務は大変ではありますが、おもしろいですから。
高橋:このプロジェクトの協力会社さんがユーザーアワードを実施しているのですが、このアワードで選出されたんですよ。技術を活かして先進的な取り組みを行っているということで、評価をいただいています。
―――最後に一言づつお願いします。
佐々木:新しい取り組みはプロジェクトメンバーが進めるだけでは完成しません。はじめは抵抗がある人もいるかもしれませんが、たくさんの人が使っていくことで、積算や作図だけでなく、業務全体がよくなって、目指すゴールに到達できるのだと思います。よりよい方向を目指す気持ちを持って、全員で向かっていきたいです。
清家:セキえもんは、まだ不完全な部分もあります。使う人の声を反映させてたいと敢えて早めに公開しました。「どうすればより使えるツールになるか」を一緒に考えながら、ブラッシュアップさせていきたいです。
杉本:世の中の多くのソフトウェアも、ユーザーの声をもとにバージョンアップしていますよね。積算や作図効率化は、多くの商環境メンバーがずっと望んできました。課題に向き合い始めなければ、変わらないので、商環境事業メンバーと一緒にいいものをつくっていきます。
高橋:DXLP第1期のプロポーザルから始まったこのプロジェクトをしっかり成功させることが、次のプロジェクトにもつながっていくはずです。商環じたん道具DXのメンバー全員が熱意を持って取り組んでいるのは嬉しいですし、仲間も増やしていきたいですね。
―――ドラえもんのように、親しみやすさと頼もしさを兼ね備える存在にしてきたいですね。商環境事業部内の業務効率化に大きく貢献するはずです。ありがとうございました!
オカムラの「WiL-BE2.0」は「Inner Communication(社内活性)」「Human Development(人財育成)」「Work Rule(制度)」「Work Smart(デジタル技術)」「Work Place(環境)」5つのアクションによって、働きがい改革の実現を目指しています。
従業員に広く開かれた社内学びの機会である「DXLP」も4期目を迎え、初期の提案が実施のフェーズに入ってきています。今回の商環境事業の積算や作図効率化のプロジェクトメンバーも、担当業務(現状はまさに積算や作図作業に多くの時間を割いています)で日々忙しく過ごしながらも、並行して業務改善ツール作成に取り組んでいるようです。使ってみての意見を皆が出し、それを反映することでよりよいものになり、オカムラメンバーの働きがい向上につながっていくはずです。(編集部)