「人が活きる社会の実現」を目指す、株式会社オカムラ。ここでいう「人」は、世間一般の人々、顧客、そしてオカムラで働く私たち自身も含みます。このシリーズでは、「人が活きる」組織となっていくための、オカムラの進化や変革にスポットをあてて紹介します。
オカムラウェイの「人が活きる」という価値観に基づき、従業員一人ひとりが働きがいを感じながら、日々活き活きと働ける状態を実現する社内プロジェクトとして、「働きがい改革 WiL-BE(ウィル・ビー) 2.0」を展開しています。実現に向け5つのアクションを推進しており、そのうちの「Work Place」アクションでは、「活き活きと働く場をつくる」を合言葉に従業員の働きがいを高めるオフィス環境づくりを推進しています。
オフィスは、そこで働く人のモチベーションや効率を大きく左右します。商環境・物流システム事業の複数部門メンバーが入居する大阪・梅田のビル、ブリーゼタワーの拠点では、改装プロジェクトを通じて新たなオフィス環境づくりのステップを踏み出しました。
今回「Work Place」アクションのリーダーを担当する働き方コンサルティング事業部 ワークデザイン統括部の川口が、拠点改装プロジェクトメンバーから商環境事業本部所属の松山、笠井、稲田、金子の4名に改装実施の背景、成果、今後の展望について聞きました。
ブリーゼタワー拠点改装 新しい働きがいを求めて
―――本日はよろしくお願いします!最初に、今回の改装プロジェクトの位置づけから教えてください。
松山 :人員増に伴いオフィスが手狭になっていたものの、多くの部門が入居しているためなかなか大規模な改装に踏み切れない問題がありました。トップダウンで改装を進めるよう進言があったことで、経営層で話し合いを重ね、事業部の役員からも、環境の定期的な活性化は必要との方針が出されました。支社や地方の拠点でも環境改善を図ることで、働きがいを高めることを目的としています。特に、拠点内の縦割り化や部門間連携が難しくなりがちな要因でもあったレイアウトの改善が大きな目標でした。
経営層からは「ライブオフィス化」を進めてはどうか、とのことでした。お客様などの見学も受け入れる、開かれたいわゆる「見せるオフィス」ですね。また、オフィス環境事業本部の部門が入居するグランフロントビルの拠点がすぐ近くにあるのですが、そことはまた異なる、こちらならではのレイアウトや働き方の実践を目指しました。
―――そんな経緯を経て実施した改装後、どのような効果がありましたか?
笠井:フリーアドレスを導入したことで、「以前よりも、いろいろな人と話すようになった」「何気ない質問が気軽にできるようになった」といった声が聞かれるようになりました。部門間や階層間連携が向上したのは大きな成果です。以前は収納が部門間を隔てていましたが、それを取り払いフロア中央にオープンスペースを設けたことで、会議室予約なしでもちょっとした打ち合わせができるなど、交流がしやすくなりました。ただ、今はグループアドレス運用のため、完全にフリーな状況で交流が生まれる、とまでは至っていないかもしれないですね。
―――フリーアドレスの導入効果が高いようですね。逆に課題として浮き彫りになった点はありますか?
笠井:職種によっては、これまでの固定席とフリーアドレスになったことで生産性の違いが見られるようです。デザインなど専門的な職種の人からは、固定席を求める声もありますね。
松山:中央のオープンエリアは、もう少し活気があってもいいところですね。このエリアをどう活用するか、引き続き検討していきます。
計画と進行の工夫:さまざまな声を聞き柔軟に。オフィス事業メンバーの協力も
―――実施までについてもお聞きします。計画と体制について教えてください。
松山:計画段階では、各部門の所属長と若手を中心に20名ほどで要件を挙げ、どのような「ライブオフィス化」を目指すべきか話し合いました。
笠井 :私はレイアウト設計を担当したのですが、オフィス環境事業本部の関西デザインセンターの協力を得て図面と要件をキャッチボールしながら進めました。オフィスのトレンドを把握しながらもそれにとらわれず、自分たちの想いに基づいた運用を考えました。ゾーニングのアイデアも現状からしっかり変化させることを意識して取り入れました。
―――進め方などで苦労した点はありますか。
松山:世代間などで考え方のギャップはあり、個別の意見を尊重しつつ、バランスを取るのが大変でしたね。また責任者としては投資効果なども踏まえ、決断しないといけない場面もありました。
笠井:オフィスの設計はわからないことだらけで、要件の伝達や什器を選定に時間も手間もかかりました。それから社内の協力を得る際に、担当になっていただく方の役割設定をもっと明確にする必要もあったと感じています。
稲田:計画段階で拠点内でアンケートを取った際、固定席やモニターがなくなることについて不安の声がありました。これに対しては他拠点の状況なども参考に、改装後に不都合があれば戻しましょう、ということにしていました。少数意見もそのままにせず、柔軟な対応を心がけました。また社内決済の申請や資産管理手続きなど、関連する事務処理は改装拠点の入居部門で担当したのですが、通常業務に加えてということもあり大変でした。
移転後の運用と今後:全部門で話し合い、さらにコミュニケーション活性化へ
―――改装後の拠点の運用体制や課題への対応についてはいかがでしょうか。
松山:改装前、計画段階から運営委員会を結成し、運用ルールを決定しました。全部門から参加し、毎週月曜日の拠点リーダー会議で議題に挙げて承認、推進しています。不具合があればすぐに修正する体制を整えました。
笠井:細かな課題はありますが、大きな問題はありませんね。中央エリアの稼働率や棚の運用については、入社3年目までの若手メンバーで意見を集め対策案を検討しています。デザイン職のメンバーからデスク幅に対する改善希望があがっていましたが、フレキシブルに対応できる設計を導入することで対応しました。
―――改装を通じてどのような効果や影響がありましたか?
松山:新しいオフィスは、以前よりもきれいでゆったりとした空間になり、コミュニケーションが活性化しました。打ち合わせ用のスペースやテレキューブ、またランチを取る場所など、さまざまなシーンに適した環境が整ったと思います。
笠井:業務では関わらない人との交流が増え、席を選べることが気分や業務の最適化につながっていますね。これからは部門間連携をさらに深め、人間関係の醸成を工夫していきたいです。オフィスが単なる働く場所ではなく、コミュニティとして機能することを目指しています。
金子:前よりも確実に働きやすさが向上しました。職場環境の改善が、日々の業務効率を高めることを実感しています。
―――最後に一言お願いします!
松山:自分たちの想いを表現することが、楽しくオフィスをつくっていけることにつながりました。意見を積極的に取り入れることが大事だと実感しました。
笠井:プロジェクト初期の段階で、オフィス環境事業本部所属のメンバーに関わってもらいました。自分たちの意見を持つことが最も重要ではありますが、オカムラはオフィス家具や働き方のプロが社内に大勢います。客観的で専門的なアドバイスが成功への道を拓きましたね。
金子:自分の意見をしっかりと反映させることが、実際に働いたときの満足度を高めますね。これに尽きると思います。
オカムラの「WiL-BE2.0」は「Inner Communication(社内活性)」「Human Development(人財育成)」「Work Rule(制度)」「Work Smart(デジタル技術)」「Work Place(環境)」5つのアクションによって、働きがい改革の実現を目指しています。
普段オフィスの提案業務には携わらない商環境や物流システムのメンバー。オフィスづくりは専門外であっても、「大切なのは自分の意見をしっかり反映すること」と言い切っていた言葉が印象的でした。自分たちのために皆で話し合ってつくったオフィスだからこそ、課題にも前向きに取り組み、働きがいの向上を継続していけるのだと思います。従業員の働きがいを高める施策としての社内オフィス事例を、今後も紹介していきます。(編集部)