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釜石より「サステナビリティ研修 in エヌエスオカムラ」レポート

2024.10.24

エヌエスオカムラ サステナビリティ研修レポート

「人が活きる社会の実現」を目指す、株式会社オカムラ。ここでいう「人」は、世間一般の人々、顧客、そしてオカムラで働く私たち自身も含みます。このシリーズでは、「人が活きる」組織となっていくための、オカムラの進化や変革にスポットをあてて紹介します。

2024年9月13日(木)~14日(土)に、岩手県・釜石市で従業員向け研修「第3回サステナビリティ研修 in エヌエスオカムラ」が実施されました。釜石は近代製鉄業発祥の地として、またラグビー日本選手権7連覇(1979-1985年)を達成した新日鐵釜石ラグビー部でも全国的に有名です。オカムラグループはここにエヌエスオカムラ(以下、NSO)という生産拠点を1991年より構えています。2011年3月に発生した東日本大震災での被災により操業停止を余儀なくされましたが、翌2012年、日本製鉄の敷地内に事務所・工場を移転、操業を再開しました。NSOでは主にデスクや物品棚・書架などを生産しています。
NSOがあることに加えて、釜石市、株式会社かまいしDMC、日鉄興和不動産株式会社、オカムラの4者によるワーケーション事業も展開しており、オカムラにとって縁の深い場所となっています。
今回の研修について、主管部門であるサステナビリティ推進部の西野 詩織からレポートします。


鉄とラグビーの街 釜石市にて
「サステナビリティ研修 in釜石・エヌエスオカムラ」

皆さんこんにちは。サステナビリティ推進部の西野です。この研修の目的は「SDGsというキーワードを通してグループ会社を知り、仲間を知り、釜石の大自然のもとSDGsを体感することで、サステナビリティの視点を日々の業務に落とし込むヒントを探ること」です。
またこの研修は、グループ会社との交流を通じて社内人脈づくりにも重点を置いています。研修当日はNSOの皆さんがあたたかく迎えてくれました。参加者の中には普段から業務でNSOとやりとりがあり、直接担当の方に会いたいと参加した人も。営業やデザインなどさまざまな職種のメンバーが集まりました。
 

研修スケジュール

1日目  9/12(木)釜石移動

2日目  9/13(金)鉄と釜石市の歴史
         NSO概要を学ぶ・工場見学
         釡石鵜住居復興スタジアム見学
         漁業体験
3日目 9/14(土)震災の記憶を振り返る(旧工場見学・避難体験)
        「オカムラ×NSO×釜石で未来に向けてできること」をテーマに
          グループワーク・発表


プログラム① 「鉄」を知る

オカムラにとって身近な「鉄」、そしてグループ会社NSOを知る

 研修スタートの会場となったNSO会議室には、震災当時の被害状況や再建への歩みを記録した写真が展示されています。旧工場は津波で壊滅。震災翌年の2012年5月には新工場で操業再開しましたが、工場整備のためのコストがのしかかる中でのスタートでした。そんな中、「省エネ法」による規制対象にもなったため、コストダウンやエネルギー使用量の削減を図るべく省エネ対策活動を展開、塗装ライン工程の抜本的なプロセス改革によるCO2排出量削減に取り組みました。これが評価され、平成28年度の「省エネ大賞」省エネ事例部門経済産業大臣賞と、環境省「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しています。
この取り組みについてNSO技術部のメンバーから説明を受け、その後実際に工場を見学することで、生産の効率化や省エネを継続する姿勢を実感することができました。

NSOメンバーの案内で工場を見学
NSOメンバーの案内で工場を見学

また、昨年の研修から引き続き、釜石市 文化スポーツ部 世界遺産課の森 一欽さんによる、鉄についての講話も設けられました。鉄の起源から日本の近代化で果たした役割など「鉄の歴史館」に携わる、まさに鉄のエキスパートからのお話は大変興味深いものでした。スチール家具製造を主な事業としているオカムラの従業員として、鉄の町・釜石で生産を行っている重要性がよく理解できる貴重な機会となりました。

釜石市 世界遺産課 森さんからの鉄についての講話
釜石市 世界遺産課 森さんからの鉄についての講話

プログラム②「釜石の出来事」に学ぶ

釜石鵜住居復興スタジアム見学と漁業体験も

NSO工場見学後は、観光地域づくりに携わる株式会社かまいしDMCの外部研修プログラムを受講しました。はじめに「いのちをつなぐ未来館」にてかまいしDMC担当者ご自身の東日本大震災時の経験談を交えながら、釜石に起きたことやその後の復興対応について話していただきました。
鵜住居(うのすまい)地区は大きな津波被害を受けました。鵜住居地区防災センターは指定避難場所ではなかったにも関わらず大勢が避難してしまい、約160人が津波で亡くなるという事態が起きました。現在は「いのちをつなぐ未来館」として、震災の記憶を伝えています。安全な場所へ正しい知識を持って避難をするという目的を忘れずに、日頃から避難訓練を行う大切さをお話いただきました。
震災当時はまだ小学生であったり、遠い場所で起きた出来事と感じていた参加者もいたかもしれません。しかし、今回お話を聞くことで、それぞれの心に深く響く機会となったようです。

いのちをつなぐ未来館を見学
いのちをつなぐ未来館を見学

2019年ラグビーワールドカップの試合も行われた「釡石鵜住居復興スタジアム」も見学しました。ここにはNSOとオカムラが手がけたスタジアムベンチがあります。釜石地方森林組合の高橋 幸男理事兼参事から、製品の図面を見せていただきながらお話をしていただきました。オカムラグループと釡石の深いつながりがあらためてわかりました。

釜石鵜住居復興スタジアムに納品したベンチ
釜石鵜住居復興スタジアムに納品したベンチ

その後は漁港へ移動、漁師さんからお話を聞きました。海洋プラスチックの調査のために毎月砂浜を調査されているそうです。また漁船に乗り、海上でほたて養殖を見学しました。貝殻についた貝や海藻をとりのぞく「はたき」とよばれる作業も行いました。「はたき」をしてきれいになったほたては、焼いて食べました。大きなほたてでとてもおいしかったです。

漁船からほたての養殖を見学
漁船からほたての養殖を見学

プログラム③持続可能な「私たちの未来」を考える

オカムラ×NSO×釜石で未来に向けて私たちができること

2日目は、旧工場から、震災当日多くのNSO従業員が避難したという「薬師公園」まで一緒に歩きながら、NSOの皆さんにお話を聞きました。
NSOの旧工場にも津波が襲来し、建屋の約半分が流されてしまいました。旧工場近くに当時あった居酒屋街がすべて流されてしまったこと。高台にある薬師公園から町が流される様子を見ていたこと。震災当日はとても寒かったが家に戻れなかったこと。NSOの皆さんが当時見た光景や、どう対応したかを実際に避難した現場で聞くことで、震災について実感をもってあらためて考えることができました。エピソードを共有していただき感謝します。

震災当時の状況をNSOのメンバーから聞く
震災当時の状況をNSOのメンバーから聞く

研修の最後には、2日間で学んだことを共有しあい、SDGsの観点から、オカムラとNSO、釜石という場所でそれぞれが活かしあいながら、未来に向けてできることを考えました。NSOの工場見学で学んだ「シランカップリング剤」という塗料とほたての「はたき」体験から着想を得て、釜石のほたてを使って塗料を作りたいと発表したチームもありました。さまざまな職種や年代の人が集まることで、同じものを見て聞いても、感じ方や考え方がこんなにも違うのかと多くの発見がありました。
 

今回の研修参加者に、感想を聞きました。

みせいくラボ福田 知春
みせいくラボ
福田 知春
福田 知春(ふくた・ちはる)
商環境事業本部 お店のみらいを創造する研究所(みせいくラボ)


商環境事業本部内の他部門の人からおすすめを受け、今回参加しました。
釜石で製鉄するに至った歴史や震災体験、日々改善に取り組むNSOの皆さんの姿など、さまざまな要素を五感で体感する研修でした。製鉄所から蒸気が噴出している街の雰囲気が印象的でした。
宿泊したホテルにも、背丈の倍ほどの津波が来たという場所がありました。現地でお会いした皆さんからは、震災当時充分に対策を考え正しく避難できたからこそ、今も前向きに暮らしていらっしゃるという印象を受けました。「備えあれば憂いなし」とはまさにこのことなのだと思います。
NSOの同期一人以外全く知り合いがいない状態で参加しましたが、最後は解散が寂しいくらいでした。優しく朗らかなメンバーに囲まれて五感を使った体験を共有できたことが、とても嬉しかったです。特に元営業担当としては、物件を担当している営業・デザイナーが忙しい中でもこの研修に参加していたことが、とても意味があると思いました。多くのオカムラメンバーに研修を受講してもらいたいと感じました。

研修を終えて

サステナビリティ研修の目的は、サステナビリティの視点を日々の業務に落とし込むヒントを探ることとして、NSOのほか、富士事業所で実施し、多くの従業員が参加してきました。参加者には現地に赴いたからこそ感じることができる、自然や人と人のつながりを実感してもらっています。
その一方で、サステナビリティが「日常の業務と直接結びつかない存在」ととらえられている場面もまだ見受けられるように思います。現在のように変化が激しく先の読めない時代において、一人ひとりが「サステナブルであること」を自分ごとにしていくことはとても重要です。今後もサステナビリティ推進部では、本研修のバージョンアップなどを含め、引き続き社内外に働きかけをしていきます。
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