企業パーパスに「人が活きる社会の実現」を掲げるオカムラ。この「オカムラを知る!」では、オカムラグループのさまざまな取り組みを紹介していきます。
オカムラでは、社内外でさまざまな社会貢献活動に取り組んでいます。今回は、2024年7月26日、オカムラの生産事業所の一つであり、オフィスチェアなどをメインで製造する追浜事業所にて行われた、神奈川県立こども医療センターへ通う家族の皆さんへ向けた「親子工場見学会」について紹介します。
小児がん患者さんとその家族を応援する「ちあふぁみ!」とは
神奈川県立こども医療センターは、全国初の福祉施設を併設した小児専門の総合病院、総合周産期施設として、高度・専門医療や緩和ケアの充実を図り、在宅移行支援などを推進しています。支援学校も併設し、子どもたちが学びながら治療を受けられる施設となっています。また、全国に15か所ある「小児がん拠点病院※」の一つです。白血病をはじめリンパ腫、脳腫瘍、神経芽腫、骨肉腫などさまざまな小児がんを克服するために、神奈川県を中心に関東や全国各地からの患者さんが、長い間入退院を繰り返しながら治療を頑張っています。
そんな中、コロナ禍で家族の面会時間なども制限された2020年に、小児がん診療に携わる医療スタッフが中心となり、治療中のお子さんとその家族を応援するプロジェクトを立ち上げました。名称の「ちあふぁみ!」は、「Cheer Families On!(家族を応援する!)」の略称です。
遠方から治療に来る患者さんと、家族の付き添い、その間留守番をするきょうだい。交通費の負担や、患者さん本人の勉強の進捗状況など、治療以外にも入院中の課題は数多くあります。医療以外の面でも患者さんとその家族をサポートするため、アンケート結果をもとにした療育状況の改善やきょうだい児への支援、家族へのメンタルケア、寄付など、さまざまな方法で応援を行っています。
※小児がん拠点病院 患者数が少ない小児がん患者に対して、質の高い医療および支援を提供するために地域ブロック単位で厚生労働大臣から指定された病院です。関東では4つの病院が指定されており、神奈川県では「神奈川県立こども医療センター」が選ばれています。
「ちあふぁみ!」とオカムラの提携
神奈川県立こども医療センターと同じ神奈川県に本社をはじめ生産・販売ともに複数拠点を持つ地元企業というご縁から、オカムラも「ちあふぁみ!」の活動に協力をさせていただきました。2023年に入院中のお子さんたち、その家族も利用できるイスとデスクを寄付した際は、「病室のベッドの横に置いてあると勉強しやすい、イスも座りやすい」などの声をいただきました。
そして今回は、夏休みの思い出に、ものづくりの現場に触れてほしい!という想いから、通院中のお子さんたちとその家族をイスを作っている工場へご招待することを決定。神奈川県横須賀市にある追浜事業所で工場見学会を開催しました。
開催に先立ち、工場見学会を担当する追浜事業所メンバーに向けてオンライン勉強会が行われました。神奈川県立こども医療センターの医師で「ちあふぁみ!」立ち上げメンバーの栁町 昌克さんより、小児がんの患者さんや家族の生活について、困りごとやその解決に向け取り組んだ事例などをお話しいただきました。
1年以上と長期にわたることも多い入院期間、患者さん本人が一時帰宅できるのは2・3日だけということも。家族は毎日病院に通い、きょうだいは留守番をしている例が多いことや、付き添い家族の休憩場所の不足など、現状の課題も共有いただきました。
「ちあふぁみ!」の活動例としては、患者さんのきょうだいに絵本などのプレゼントを贈ったところ、「(患者さん本人ではなく)自分にプレゼントをもらえるなんてびっくりした、とてもうれしい」と喜んでくれたというエピソードが印象的でした。
追浜事業所で親子工場見学会を実施
事前に患者さんの治療についてや、応援プロジェクトについてお話を伺ったうえでメンバーで準備を進め、迎えた7月26日の親子工場見学会。通院中のお子さんたちをはじめ、そのお父さんやお母さん、きょうだいがバスで追浜事業所に到着しました。
まずは工場見学を担当するメンバーから、神奈川県横須賀市に拠点を置く追浜事業所はオカムラの生産事業所でも一番古い事業所であることや、製造するイスの種類などについてお話しました。
続いて2グループに分かれ、実際にイスを製造する工場内を見学してもらいました。参加者は追浜のメンバーによる説明を受けながら、イスの座面の縫製や溶接、組み立て、出荷前の耐久試験などそれぞれのエリアで真剣なまなざしを注いでいました。参加者からは「溶接時の温度はどれくらいになるんですか?」などの質問も。見学会担当者に加えて、現場のメンバーが急遽会話に飛び入り参加、といった場面もありました。
工場見学から戻り、イスのショールームエリアで実際に座り心地を試してもらいました。オフィスチェアをはじめ、ゲーミングチェアなども用意されています。お子さんたちは「リクライニングすると寝ちゃいそう」などと言いながら、楽しそうにいろいろなイスに座ってみていました。お母さんやお父さんからは「在宅勤務用によさそう」という声も。
その後は、ものづくり体験へ。イス用のレザーの端切れを使って小物入れを作ってもらいました。追浜のメンバーがフォローしながらボタン付けに挑戦した後は、オリジナルの小物入れにすべく、シールを張ってデコレーション。ローマ字のシールで名前を入れたり、スタッフが手伝いながら星型のスタッズを付けたり。自分だけの小物入れづくりを楽しんでいました。「こんなに本格的な革のグッズを作れるなんて思っていなかったです」と親子で感想を寄せてくれた参加者もいました。
最後に工場見学を担当したオカムラのメンバーから「皆さんにとって、今日の見学会がこの夏の思い出の一つになれば、とてもうれしく思います。オカムラの私たちにとっても、楽しい時間になりました」と参加者の皆さんへお伝えし、親子工場見学会は終了となりました。
今回工場見学を担当した、追浜事業所メンバーに感想を聞きました。
生産本部 追浜事業所
製造管理部
工場案内のガイドを担当しました。難しい内容も多く、お子さんたちに楽しんでもらえるか不安に感じながらの案内でしたが、ご家族揃って目をキラキラさせながら、オカムラのものづくりに興味を持っていただくことができました。普段ご案内することが多い取引先などのお客様とは異なり、お子さんたちの素直な感想はとても刺激になりました。積極的に質問をする姿や声を上げて驚く姿を見て、私の方が、オカムラのものづくりのよさを改めて教えてもらったように感じます。また、ものづくり体験では、お子さんたちが好きなデザインを考え、ご家族で仲良く作業する姿が印象的でした。
お子さんたちと一緒に一足先の夏休みを体験したような気分になれた、とても楽しい時間でした。今後も地域の皆様と触れ合える機会を大切にしていきたいと思います。
ほかのメンバーからも「普段はオフィス製品に詳しいお客様の対応をすることが多いので、どうすればお子さんたちが飽きないように案内できるか緊張していましたが、設備やものづくりの工夫に対し、皆さんが口々に『すごい!』と声を上げられていて、改めてオカムラのものづくりの力を実感する機会となりました」「ショールームで、イスのさまざまな機能や開発の経緯に驚きつつ、笑顔で過ごされていた光景が印象に残っています。ものづくり体験では、大人も子どもも一緒になって手を動かし、ものをつくるワクワクを味わっていただけたように感じました」という感想がありました。
それぞれが活き活きと、地域と共生する
工場見学は、参加した方々にとって、楽しみながら社会科見学や遠足のような時間を過ごしていただけたのではないでしょうか。そして迎える側のオカムラ従業員にとっても、お子さんたちの素直な反応は、普段の業務では得られない新しい気づきや励みになったようです。引き続き、同じ地域にある企業として提携し、協力させていただければと考えています。
今回の神奈川県に限らず、各地に拠点を持つオカムラグループでは、それぞれの地域で働く従業員がいます。そして、その地域の人々と共生することも大切にしています。今後も「人が活きる社会の実現」を目指して、それぞれの地域での「人が活きる」状態に貢献できる機会に、積極的に参加していきます。