オカムラで働く人に、仕事へのスタンスやエピソードを聞く「My Okamura Way」。オカムラがめざすのは、「人が活きる社会の実現」です。そこに向けてオカムラのメンバーが何を実践しているのか、担当する業務、働き方について思うこと、仕事以外の生活などについて聞きます。
My Okamura Way Vol.9
商環境事業本部 お店のみらいを創造する研究所(以下、みせいくラボ)に所属する福田 知春(ふくた・ちはる)。2018年に新卒で入社、商環境の営業職として勤務後、2024年4月に新しく設立された「みせいくラボ」に異動しました。営業として担当してきた業務や、予想外の異動先だったという、みせいくラボという新組織について聞きました。
2024年4月取材
キャリアスタートは会社を知り、お客様を知ることから。商環境で営業職を希望
――所属する「お店のみらいを創造する研究所」、部門名がインパクトありますね。これ以前のキャリアから順に聞いていきます!今年で7年目とのこと、オカムラに入社したきっかけは何でしょうか。
福田 知春(以下、福田): 大学で認知科学を学んで、いろいろな人が使う場所である公共施設に興味がありました。一方アルバイト先では秤やプロ用のグローブを使う機会があって、仕事が楽になる、知る人ぞ知るものづくりっていいなと思っていました。こんな視点で企業研究をして、オカムラには教育施設や文化施設の面で関わりたいとエントリーしたんです。応募過程で商環境事業の先輩社員から話を聞いたり、履歴書の趣味欄に「旅先でスーパーを見るのが好き」と書いたところ人事部の人から「それなら商環境も合うのでは?」と言われたりして、おもしろそうだなと思い、商環境事業への配属を希望しました。
実際に商環境事業に所属してみて、「いろいろな人が集う場所」と「プロフェッショナルにとっての働きやすさを追求する」という意味で、興味があった分野を両方満たした仕事ができているのかなと感じています。
――学生時代からプロが使う用品に惹かれるとは、視点が渋いですね。配属は営業支店だったのですか。
福田:入社後6年間は商環境事業本部の支店で、主にスーパーマーケットのお客様を担当していました。職種はもともと営業を希望していました。社会に出て働いてみるにあたり、まずは会社で扱う製品の知識を吸収して、お客様と接して、社内外の知り合いを増やすことが必要だと思ったんです。その先に具体的なやりたいことや次の目標が見えるのではないかと考えていました。
――オカムラで活躍する営業職の女性は増えていますが、まだそんなに多くはないですよね。
福田:店舗の施工現場で女性は一人だけ、ということもありました。もしかすると職人の方々に、接しにくいなと思われたこともあったのかな?現場で女性一人、という光景は、私自身には見えていませんし(笑)、特に気にしていませんでした。先輩方や職人の皆さんはいろいろ質問に答えてくださって、かわいがっていただきましたね。今思うと、寛大な心で接してもらっていたのかもしれません。
――社会に出てすぐ、相当年上の人たちだらけの現場にも臆せず、一緒に溶け込もうという姿勢を自然に持てるのはコツがあるんでしょうか。
福田:大学で山岳部に所属していて、年配のOBと接する機会が多かったんです。「怖そうに見える大人もいるけれど、話してみると怖くないんだな」ということがわかりました(笑)バイト先にもいろいろな年代の仲間がいて。学生時代からさまざまな世代や立場の人と関わりを持ってきたのは活きているかなと思いますね。
上司から真意を伝えられ、正面からぶつかることができるように
――営業として取り組んできた中で印象に残っていることはありますか。福田:入社2年目から、とある大手スーパーマーケットを担当することになりました。ちょうどコロナ禍でスーパーの改装が増えた時期に引継となり、毎週のように改装やオープンが続きました。大規模物件も多く、客先のご担当者も含め大所帯のチームで仕事を進めることになり、大変でしたが、とても勉強になりました。
――商環境事業では同じメンバーでのチームで進める仕事も多いと聞きます。
福田: それまでは個人作業が多かったので、複数で対応する仕事とは何か、ということが分かりました。みんなで頭をひねってつくりあげた店舗のオープン時は、達成感もひとしおです。それから、まだ分からないことが多い時に当時の課長から「注意を受けると怒られた、と思うかもしれないけれど、福田さんに育ってほしいからこそ、はっきり伝えているんだよ。怖がらずにこれからも聞いてきてほしい」と言われたことも印象に残っています。
――上司から先に「成長してもらいたいからこそ、注意点を伝えている。気にしすぎないで、遠慮せず何度でも来てほしい」と真意を言葉にするのは、お互い誤解を生まないためにも必要なことかもしれません。
福田:課長からの言葉で、疑問や失敗があった時でも怖がらずに、自分から上司や周りの人に声をかけることができるようになりました。所属拠点に営業だけでなくスタッフなど多くの部門が入っているので、直接質問や話をしにこちらから出向くようにもなりましたね。知り合いがいない部門のエリアに初めて行った時は、社内とはいえ緊張しましたけれど(笑)、すぐ会える距離なので、チャットのやり取りだけでなく対面のコミュニケーションも積極的にとるようにしています。
出張だけに終わらず!?休日は古民家の床張り替えで全国を飛び回る
休日には大学時代から続ける登山のほかに、「全国床張り協会」の活動として、古民家の床を手作業で修復しているという福田。書籍「ナリワイをつくる~人生を盗まれない働き方~」を読み、著者の伊藤 洋志氏が主催する床張りイベントに行ったのをきっかけに、継続して参加するようになったそうです。床は家屋の中で一番傷むのが早いけれど、プロではない普通の人でも自分で手直しをしやすい場所なのだそう。「『床さえ張れれば家には困らない』をモットーに古民家や山小屋の古くなった床や畳を取り外し、無垢材に張り替える活動です。頭と体を使ってきれいな床を仕上げると心身ともスッキリするのでお勧めです」と語る福田は、高知や徳島、滋賀などへも遠征しボランティアで参加。オンオフともに全国を飛び回り、まさにオカムラが提唱するWork in Life ※1 を実践しています。
※1 「Life(人生)にはさまざまな要素があり、その中の一つとしてWork(仕事)がある」という考え方
営業での経験を活かし「みらいのお店づくり」を考える
――営業の仕事を通じて社内外の人から学び、チームでの業務も充実していた中、新組織の立ち上げタイミングで異動となったのですね。みせいくラボはどんな業務を担う部門ですか?
福田:社会情勢や価値観の変化のきざしをキャッチして、商環境のお客様である小売業やパートナー企業、社外研究者などさまざまな立場の方と共創 ※2 することで、未来の店舗像を描くことを目的に設けられた部門です。みせいくラボの由来は、「店行く」と、お店を育てる「店育」をかけているんですよ。メンバーは空間デザイン、製品企画・開発から来た人たちがいて、営業からは私が参加することになりました。
※2 オカムラでは、いろいろな人が一つのテーマについて意見を交わしながら新しい価値を創出することを共創と位置付けている
――研究所には、さまざまな職種を経験してきたメンバーが集まったのですね。調査に限らず共創や情報発信など活動の幅が広そうです。
福田:まさか、自分がみせいくラボの研究員になるとはびっくりしました。女性営業職の後輩も増えた中で一旦営業から離れることに心残りはありましたが、これまでの経験を活かせる場面はあるでしょうし、営業部門に今までと違う立場で貢献できるかもしれないと。いつも次起こることに好奇心を持って、でも過度に期待しすぎず(笑)、やってみようという姿勢を心掛けています。「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、それぞれの業務経験をもとに、やりたいことやできることの意見が活発に交わされるなど、みせいくラボのメンバーで、日々共創が起きています。
自由に意見を交わし、共創することで、お店の可能性を追求し続ける
――福田さんは、これからみせいくラボで、またオカムラでどんなことをしていきたいですか?福田:働き手の不足やDX導入など、小売業でも変化が起きる中、これまでの事業範囲にとどまらない視点で「商環境事業に携わる私たちにとって、お店とはどういう存在か?」をあらためて考えることが重要です。売り場、内装、バックヤードを含めお店をまるごとつくることができるのが、オカムラの強み。これを最大限に活かすために、まずはオカムラ独自の視点でお店の未来について発信したり、ワークショップを開催したりといった施策を予定しています。発足したばかりですが、社内外から「みせいくラボに相談すると新しい気付きがあるね」と思ってもらえるようにしていきたいです。
――製品から空間デザイン、施工、メンテナンスまでトータルで対応する商環境事業の知見を集約して今後のソリューション提案につなげるのは、みせいくラボのミッションでもあるのですね。
福田:この部門だけでやれることではないと思っていて、いろいろな人たちがちょっとしたことでも意見を言いやすい環境をつくることもタスクの一つかもしれません。社内にはベテランから若手まで、声は大きくないけれど、よくよく話してみると「こんなことを考えていた」「あんなことまで知っていた」という隠し玉を持っている人が本当に多い(笑)忙しいからとか、言っても仕方ないなんてそれぞれが思っているうちに、いろいろな面で機会損失になっていたら、もったいないですよね。
――確かに、思うことを気軽に言い合える職場環境は、一人ひとりの働きがい向上にもつながります。みせいくラボは、社内やお客様を新しい切り口でつなぐ役割も担っていくようですね。最後の質問ですが、オカムラの企業パーパスに「人が活きる社会の実現」があります。福田さんはこれをどんなふうに捉えていますか。
福田:誰でも自由に意見を言い合えることで、新しいものやことが生まれる場は、私にとって「人が活きる社会の実現」のワンシーンなのかもしれません。社内に限らず、お客様とでも、そしてお店に限らずどんな場所にも共通する、重要な要素だと思います。まずは自分自身が楽しみながら、みせいくラボの業務に向き合い、周囲との共創を進めていきたいです。
インタビュー後記
オカムラの商環境事業には、長年にわたる小売業のニーズや課題に対応するお店づくりから培った豊富な知見があります。今回営業や空間デザイン、製品企画・開発出身のメンバーがみせいくラボ研究員となることで、さまざまな視点からお店づくりを考え、新提案につなげていきます。営業経験を踏まえ、社内外の人と意見を交わしながらお店のみらいの創造に取り組む福田は「一期一会」という言葉を大事にしている、とも語ってくれました。人やものとの出会いを大切にする姿勢、そして明るいキャラクターで、みせいくラボが目指す「みらいのお店を通じた人と人のつながり」、ひいてはオカムラが目指す「人が活きる社会の実現」にもう向かっていると感じました。これからのみせいくラボによる活動発信も楽しみです。(編集部)